【独自解説】「困窮型」「便乗型」「ストレス型」シフトする“被災地犯罪” 能登半島地震でも悪質な手口が多発…減災復興の専門家が指摘する、デマが広がってしまう事情
1月1日に大きな地震が襲った石川県・能登半島ですが、現地ではその震災に便乗した犯罪が増えているといいます。被災者を狙う悪質な手口…果たしてその対策とは?兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科の松川杏寧(あんな)准教授が解説します。
「ニセ自衛官」「義援金詐欺」…能登半島地震の被災者を狙う犯罪が多発
松川杏寧准教授は2012年同志社大学・特任教授に就任、2016年に人と防災未来センター・主任研究員、2020年には国立研究開発法人・防災科学技術研究所・災害過程研究部門・特別研究員などを歴任し2023年から兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科・准教授を務めています。 Q.今は金沢にいるそうですが、現状はどうですか? (松川杏寧准教授) 「現状は、冬でかつ道路状況が悪いという、今までに類を見ないかなり難しい状況での災害対応となっています」 Q.当初よりは、七尾市くらいまでは、ある程度スムーズに行けるようになったのですか? (松川准教授) 「道路状況はかなり改善したのですが、人が生きていく上で非常に重要である水道がしばらく通りづらいということで、奥能登の方はかなり劣悪な状況で皆さん頑張っている状態です」
そのような中で被災地を狙う悪質な犯罪が増えています。石川県では1月15日時点で今回の災害に便乗した刑法犯が22件認知されています。10都道府県警察約150人で警戒を行っているということで、石川県の馳浩知事も「厳しく対応します」とコメントしています。 Q.認知件数で22件ですから、実際はそれ以上なのでは? (松川准教授) 「本来、自分が被害に遭った場合は被害届を出すのですが、こういう非常事態ですので『出している余裕がない』ですとか『これくらいだったらいいかな』という感じで被害届を出さない人が増えますので、普段あがってくる認知件数より、この数字はかなり少ないと思った方がいいです」
その悪質な手口ですが、ある業者が契約書を作らないまま、壊れた住宅にブルーシートを設置し、後から多額の料金を請求するという事案が発生しています。 Q.見積もりなしで設置するのは怖いということですね? (松川准教授) 「高齢者が多い地域ですので、安全面からも業者に設置してもらう必要があるのですが、その業者も県内だけでは足りていないので県外の業者にも声をかけて、『ここに頼めば正規の金額でできる』というのをまずはつくることが必要です。そして、こういった問題に遭遇したときの相談窓口を周知して、何かあったときは対応するという対策を取る必要があると思います」 Q.「県外から来たので割高です」と言われると信じてしまいますよね? (松川准教授) 「そうですね。だから、『今これくらいの金額でこういったサービスが提供されています』という公式な情報が被災者全てに行き渡るようにする必要があると思います」
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