【詳報】札幌すすきのホテル殺人事件 新たな証拠の詳細は…母・浩子被告の5回目の裁判
札幌・すすきののホテルで2023年7月、男性の首を切断し、頭部を持ち去った事件で逮捕・起訴された親子3人のうち、母親・田村浩子被告の5回目の裁判が2024年11月5日に札幌地裁で開かれました。 起訴状によりますと、田村浩子被告(61)は2023年7月、娘の瑠奈被告が殺害し、切断した当時62歳の男性の頭部を自宅に隠すことを認めるなどした死体遺棄ほう助などの罪に問われています。 浩子被告は初公判で起訴内容を否認していて、「ほう助」という罪が成立するかが争点となっています。 5日の裁判では、検察と弁護側の証拠調べが行われました。 【①検察の証拠調べ】 検察は捜査報告書の証拠から、事件当日(7月1日)の午後8時15分ごろに、父親の修被告のスマートフォンで「殺人 時効」と検索された可能性が高いと主張。 さらに、修被告の勤務先のパソコンから「ハイターで指紋は消せる?」という入力履歴が見つかったとする証拠を読み上げました。 【②弁護側の証拠調べ】 弁護側は検察に請求し、開示をうけた捜査報告書を証拠として提出。 瑠奈被告が事件の前後に使用していたとみられるノートパソコンの捜査で、以下の検索履歴が残っていたと明らかにしました。 ・2023年6月30日「千葉 バラバラ 女性遺体」・2023年7月6日「千葉切断遺体」・2023年7月11日「法定刑は死刑のみ 日本で最も重い犯罪とは?弁護士に聞いてみた」・2023年7月14日「本体と一緒に埋葬されなかった有名な体の一部」 また、修被告のグーグルアカウントには2022年から2023年にかけて、「ネイル」や「メイク」などの検索履歴が残されていたとする証拠を提出。 弁護側は「瑠奈被告も修被告のアカウントを使用していて、「殺人 時効」も瑠奈被告が検索した」と主張しています。 このほか、修被告の自宅から「言い訳するな まず謝罪しろ」「7月1日♡(土)」と書かれた貼り紙が押収された証拠を読み上げたほか、2023年11月に自宅で実施された検証調書を提出。 検証によって、瑠奈被告が所有していた人形32体は2つのスーツケースに16体ずつぴったり収納できることが明らかになり、弁護側は「頭部を持ち去るために事前にスーツケースを購入したわけではない」と主張しています。 【③検察・弁護側 双方の証拠の意図は】 元検察官で刑事裁判に詳しい中村浩士弁護士はこれまでの浩子被告の裁判について、「浩子被告の犯罪を立証する証拠としては非常に乏しい事件。検察はかなり苦労している印象」と話します。 その上で、検察と弁護側の双方の狙いについて、中村弁護士は「検察は瑠奈被告の異常性を強調して、異常な行動を両親が放置・黙認していた。ひいては殺害行為についても反対はせず、容認・援助するという関係性をアピールしたい。一方で弁護側は瑠奈被告の異常性を主張しつつ、あくまでも自宅にすでに頭部が置かれていた状況で浩子被告が何もできなかったことを処罰するのはおかしい、無罪だと主張している」と分析しています。 浩子被告の次回の裁判は2024年11月20日の予定で、修被告に対する検察の証人尋問が予定されています。