九電、新発電設備を検討へ 池辺社長「原発も選択肢」 半導体関連、生成AIの需要増に対応
九州電力の池辺和弘社長は熊本日日新聞の新年インタビューで、半導体関連企業の集積や生成人工知能(AI)の普及で増加する電力需要に対応するために、「(将来的には)新たな発電設備を造っていかないといけない」と述べた。国が2月ごろの閣議決定を目指す「エネルギー基本計画」を踏まえ、九電は新たな発電設備の検討に入る。原発の新増設を選択肢の一つとする。 熊本の経済ニュース
九電は、この10年ほどは現有設備で電力需要に対応できると想定。ただ、台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出を契機とした九州エリアへの企業集積や、生成AIの学習に使うデータセンター向けで、需要がさらに高まるとみる。 池辺社長は「絶対に電気の需要は増える」と述べ、新たな発電設備の必要性を強調。エネルギー基本計画の閣議決定や、その後に国が示す制度を受けて「(発電設備を検討する)われわれの議論になる」と見通した。 池辺社長は電源について「一般論として言えば、二酸化炭素(CO2)を出さないことと、安定供給の2点が重要」と指摘。「原子力のメリットは大きい」と述べた。ただ、「地域の方らの同意が必要で、議論を続けていかないといけない」とも語った。 エネルギー基本計画を巡っては、国が昨年12月に原案を提示。2040年度の発電量に占める割合は原発が2割程度、再生可能エネルギーが4~5割程度、火力が3~4割程度とした。
同じ原発の敷地内に限っていた原発の建て替えの要件も緩和。九電が廃炉作業を進めている玄海原発1、2号機(佐賀県)の建て替え先として、稼働中の川内原発(鹿児島県)の敷地内も認められることになる。 池辺社長は「全部頑張らないと、電気が足りなくなる」とも指摘。原発に限らず、再エネ発電やCO2排出対策をした火力発電にも力を入れる意向を示した。 九電はLNG火力の「ひびき発電所」(北九州市)のほか、風力や地熱といった複数の再エネによる発電設備の建設を進めている。下筌ダム(小国町、大分県日田市)と松原ダム(日田市)を活用した揚水発電も検討している。(山本文子)