自転車“ながらスマホ”で懲役刑 「酒気帯び運転」、提供者も罰則対象に 弁護士が教える道交法“改正”のポイント
歩行者にぶつかったらどうなる?
Q.自転車の運転中のながらスマホや自転車の酒気帯び運転などが原因で歩行者にぶつかってしまった場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。 牧野さん「自転車の運転中に歩行者にぶつかってしまい、けがをさせてしまった場合には、道路状況や歩行者過失にもよりますが、民法709条の不法行為責任に基づき、歩行者に発生した損害を賠償する責任が発生します。自転車と歩行者を比較した場合、歩行者の方が交通弱者となるため、歩道上においては、基本的に自転車側が100%の責任を負うことになります。 また、自転車と歩行者の事故の場合、自転車側には民事上の責任のほか、刑事上の責任が問われることになります。刑事上の責任として、不注意により相手にけがを負わせた場合は『過失傷害罪』(刑法209条、30万円以下の罰金または科料)、不注意により相手を死亡させた場合は『過失致死罪』(刑法210条、50万円以下の罰金)にそれぞれ問われる可能性があります。 また、重大な不注意により相手を死傷させた場合は『業務上過失致死傷罪もしくは重過失致死傷罪』(刑法211条、5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金)に問われる可能性があります」 Q.このほか、自転車の運転中のながらスマホや自転車の酒気帯び運転などを行い、自転車の通行が原則として禁止されている歩道を自転車で走行したとします。もし歩行者をはねてしまった場合、法的責任が重くなる可能性はあるのでしょうか。 牧野さん「歩道を通行できる例外に当たる理由がないのに、普通自転車が歩道を通行した場合、道路交通法63条の3に違反したとして、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金を科される可能性があります。普通自転車とは、道路交通法と関連法令の用語で、自転車のうち、大きさと構造が基準を満たし、『自転車および歩行者専用(325の3)』の道路標識が設置された歩道を通行することができるものを指します。 普通自転車は、歩車道の区分のある道路では、道路(車道)の左側端に寄って車道を通行しなければならず、標識などによる自転車専用通行帯があるときはその部分を通行しなければなりません。普通自転車が歩道を通行する場合、道路標識などにより普通自転車が通行すべき部分として指定された部分または歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければなりませんが、通行指定部分に歩行者がいない場合などはこの限りではありません。 また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることになるときは、一時停止しなければなりません。当然ですが、自転車は、信号機が表示する信号または警察官などの手信号に従わなければなりません」
オトナンサー編集部