北九州の中学生殺傷、現場には花束を手向ける住民らの姿…「これまでなかったような事件だ」
逮捕されたのは、現場近くに住む一人暮らしの男だった。北九州市小倉南区の中3男女殺傷事件で19日、福岡県警は無職平原(ひらばる)政徳容疑者(43)の自宅に突入し、男子生徒に対する殺人未遂容疑で身柄を取り押さえた。女子生徒の命が奪われたファストフード店での凶行から5日。地域住民を不安の底に突き落とした事件は急展開を迎えた。
住民らからは安堵(あんど)の声が聞かれた。
被害生徒が通う中学校の2年男子生徒は「(友達は)みんな元気がなかった。怖かったけど、安心した」と話した。母親の看護師女性(42)は「事件後、できる限り息子の登下校に付き添ってきた。これまでなかったような事件が起き、今後の生活でも怖い気持ちもある」と打ち明けた。
中学校の近くに住む男性(82)は「(亡くなった女子生徒は)いい子だったと聞いており、かわいそうで仕方ない。(容疑者の)動機が気になる」と真相解明を求めた。
事件が起きたファストフード店「マクドナルド322徳力店」には、この日も被害者を悼む人が相次いで訪れた。実家が現場近くで、被害生徒と同じ中学出身という50歳代の会社員女性は「安らかにお眠り下さい」と手書きしたメッセージカードを添えた花束を献花した。妻と小学2年の息子と一緒に手を合わせた同市八幡西区の自営業の男性(52)は「子を持つ親として、かわいそうだ。安心はできず、まだ子どもの送迎が必要と思う」と語った。
同市教育委員会によると、19日も事件を理由に市立小中高校などで1774人が欠席。市教委は同日、保護者同伴での登下校や見守り体制強化の依頼について、小中学校の終業式(23日)まで継続することを決めた。市が市職員1000人規模で実施している通学路の見守りも同様に継続する。
市教委は「事件が児童生徒や保護者、教職員に与えた心理的な影響は重大であり、引き続き心のケアへの支援体制を整える」とのコメントを発表した。