日本にも打撃、深刻な干ばつで下がり続ける米ミシシッピ川の水位、農作物輸送に支障
浚渫工事をしているものの
米議会は、船舶が通るミシシッピ川の水路の水深を2.7メートルに維持するよう義務付けている。そのため、陸軍工兵隊が川底を掘り下げる浚渫工事を行っている。 「工事の期間は長くなるばかりです。7月から、翌年の2月中旬までは続きそうです」と、工兵隊セントルイス地区の責任者であるルー・デローコ氏は言う。「平均的な年には230万~300万立方メートルの泥を除去しますが、これが2022年には760万立方メートルに膨れ上がっていました」。2023年も、11月下旬までに450万立方メートル以上が除去された。 工事は、幅10メートルの川底に水を噴射して、泥やシルトをかき混ぜて行う。これを、巨大なポンプで吸引し、パイプを通して川岸近くに吐き出す。 晩秋になると川の交通量がピークを迎え、工事全体に遅れが生じる。船が近づくたびに、工事を中断して道を開けなければならないためだ。 しかし最も大きな懸念は、干ばつが拡大を続けていることだ。現在、ミシシッピ川が流れるミズーリ州セントルイスの北からはるか南のルイジアナ州バトンルージュまで、東西両岸の広い範囲が異常な乾燥に見舞われている。 「2022年の干ばつは局所的で、この地域の5カ所で大規模な浚渫工事が行われました」と、デローコ氏は言う。 「それが今では、ここからルイジアナ州までの広い範囲に及んでいます」
文=Stephen Starr/訳=荒井ハンナ