サムスン電子株上昇、エヌビディアCEO発言好感-利益は予想下回る
(ブルームバーグ): 韓国のサムスン電子の株価は8日に上昇。高性能メモリーを巡る技術的課題をサムスン電子は克服可能だと人工知能(AI)向け半導体メーカー、米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が発言したのが好感され、予想を下回る四半期決算への失望感を相殺する格好となっている。
サムスン電子がこの日公表した2024年10-12月(第4四半期)決算の暫定集計では、利益が市場予想を下回った。重要なAIチップとスマートフォンの分野で市場シェア奪還に向けた取り組みに費用がかさんだことが響いた。
10-12月期の営業利益は暫定ベースで6兆5000億ウォン(約7100億円)。アナリスト予想平均は8兆9600億ウォンだった。売上高は75兆ウォンで、市場予想に届かなかった。株価は8日午前のソウル市場で一時1.3%下落する場面もあった。
フアンCEOはテクノロジー見本市「CES」で、サムスン電子は新しい設計をやり遂げる必要があるが、同社は「非常に迅速に取り組んでいる」と評価。これを受け、サムスンの株価は一時3.1%上昇した。
投資家らは利益率の高いAI分野でライバルのSKハイニックスやマイクロン・テクノロジーにさらに出遅れているサムスン電子の期待外れの業績発表に身構えていた。サムスン電子は最新製品でエヌビディアによる認証の取得に苦戦しており、高帯域幅メモリー(HBM)市場で特にSKハイニックスが大きなシェアを獲得するのを許している。
メモリーメーカーで世界最大手のサムスン電子は、急成長するAI市場でライバルを追い上げるべく、研究開発費や生産能力拡充の費用を増大させた。発表資料によれば、パソコン(PC)やモバイル機器向けの従来型半導体製品の需要は弱まった。競争激化でモバイル機器部門も打撃を受け、ファウンドリー(受託生産)事業の稼働率は低下した。サムスン電子は今月遅くに、純利益や部門別内訳を含む詳細な財務報告を行う予定。