米ベビーブーム世代は資産は残さず「自ら消費する」、世代間にみる富の勝者と敗者
ミレニアル世代を待ち受ける相続財産はなお巨額
■ミレニアル世代を待ち受ける相続財産はなお巨額 一方のミレニアル世代は、2008年に始まったリーマン・ショックや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、1981年以来の高インフレなど、桁外れの経済的な難局に次々と見舞われるなかで資産形成を試みてきた。 激動の経済状況によって、ミレニアル世代の金融資産育成は非常に困難なものと化した。この世代が投資から得ているリターンは、上の世代と比べて大幅に低い水準にとどまっている。結果として、ミレニアル世代の生涯貯蓄高は上の世代よりもかなり少なく、十分とはいえない。 ただ、ベビーブーマーと、「沈黙の世代」と呼ばれる彼らの親世代から次世代に引き継がれる資産額は、2045年までに84兆8000ドル(約1京3100兆円)に上ると推計されている。このうち72兆6000億ドル(約1京1300兆円)がそのまま相続人の懐に入るとみられることから、ミレニアル世代には依然として相当額の恩恵を得られるチャンスが存在する。 この巨額の資産移転により、ミレニアル世代の資産額は2030年までに5倍に膨らむ可能性がある。これほど多額の富が流入すれば、この世代の懐具合は安定し、持ち家を手に入れるチャンスが増し、債務負担は縮小するだろう。 特筆すべきは、この相続資産によってミレニアル世代にも、金銭的理由だけで同じ仕事を続けるのではなく、やりがいのあるキャリアを追求したり、自ら事業を興したりといった道の選択が可能になるかもしれない、という点だ。 また、Z世代についてアリアンツのレポートは、金融資産運用実績に関して上の全世代をしのぐ強いポテンシャルを持っていると指摘している。もっとも、それには経済状況の現実に沿った形で貯蓄行動を形成できれば、という条件がつくという。
Jack Kelly