窓口対応、午前のみに 富山信金が検討 融資、コンサル強化
●県内金融機関、見直し広がる 富山信用金庫(富山市)は3日までに、窓口の対応時間を富山県内の信金で初めて午前のみに切り替える検討を始めた。県内の金融機関では、営業店の窓口業務の対応を見直す動きが広がっている。各金融機関はネット取引の増加などで来店者が減少し、昼休業導入やコンサルティングに特化するなど業務効率化が加速。顧客との接点を増やし、預金や貸出金収益の増加につなげ、本業の利益を拡大させる狙いだ。 【写真】富山信用金庫の岩瀬支店=富山市東岩瀬町 国内では近年の低金利政策や人口減少に加え、コロナ禍も追い打ちを掛けて経済活動が縮小している。地域に根を張った地銀や信金にとってはコスト削減が不可欠となり、全国的に昼休業を導入する窓口が増えてきた。 富山信金は午前9時~午後3時の営業店の窓口を、午前のみに切り替える方針で検討を進める。2024年から実証実験を始め、富山市の四方、岩瀬の両支店を1日おきで交互に営業する「隔日営業」を導入した。北陸三県では19年に導入した福井信金に次いで2例目となる。 富山県信用金庫協会長を務める富山信金の山地清会長は「全国の事例も参考にし、全営業店での導入を前向きに考えたい」と説明。窓口業務を終了した午後からは顧客の融資や企業のコンサルティングなどの相談に応じる「課題解決型」の店舗として営業を進めていく方針だ。 このほか、25年3月までに全支店の窓口にタブレット端末を導入するなど、ITを活用した取引の推進を図り、窓口業務の効率化を進める。働き方改革の推進による企業イメージの向上や人材確保を図る狙いもある。 山地会長は「従来の店舗には来店する用事が無くなっている。あり方を見直さなければならない」と述べ、できるだけ早い時期に全営業店で導入を図ることへ意欲を示した。 ●ほくほくFGがコンサル新会社 北陸銀行は働き方改革の一環として支店の昼休業の導入を進め、現在は富山、石川など全国多くの支店で実施している。 24年5月には、同行と北海道銀行を傘下に持つ、ほくほくフィナンシャルグループ(FG、富山市)が両行のコンサル業務のうち、「企業の合併・買収(M&A)」「事業承継」「経営」の3分野を引き継ぐ新会社を設立した。営業店の効率化を図りながら、コンサルを収益の柱の一つに育てたい考えだ。 ★金融機関の窓口業務 決済など公共性が高い業務を担っている銀行店舗には、さまざまな規制がかけられ、旧大蔵省時代の「護送船団方式」では、店舗の場所や数も制限された。1998年の銀行法改正以降、新規出店の自由度が増した。2016年9月には原則午前9時~午後3時に決まっていた店舗の営業時間も、変更できるようになった。信用金庫では京都信金が22年に先駆けて導入した。