絶景の湯、住民の力で運営 南砺・平「ゆ~楽」 人気も赤字、市の支援ゼロに
●4月から 会社立ち上げ「交流の場守りたい」 南砺市平地区の山あいの公設温泉「ふれあい温泉センターゆ~楽」が4月から、市の支援から自立した運営に挑む。庄川・祖山ダム湖を望む絶景で知られ、富山県内屈指の人気の湯ながら採算は実質赤字だった。公共施設再編を進める市が今年度限りで運営費の支出をゼロにする計画を進めているためで、住民が「交流の場でもある湯を守りたい」と運営継続を決意した。 【地図】ふれあい温泉センターゆ~楽 「ゆ~楽」は旧平村から市が引き継いだ。地元住民の運営会社「小谷企画」が自立運営に当たる。同地区は交流、憩いの場が少ないが、施設自体は市内外からリピーターが通い、近年は利用客が増えている。 市の支援がゼロになることから同社は一度、市に「運営困難」と伝えたが、「なくすわけにはいかない」と再考した。 ●入浴料上げ経費削減 構想では、春から大人620円の入浴料を700~750円に引き上げ、平日の営業時間を短縮するなどして経費を削減する。当面は黒字を維持できるが、設備が古くなっており、費用がかさむ修理が必要になれば経営が行き詰まる可能性がある。 高田裕之社長は「やれるところまでやるが、設備更新だけでも市の応援をお願いしたい」と期待する。 「ゆ~楽」は、旧平村が庄川右岸高台で温泉を掘り当て、健康増進と地域活性化に役立てようと、1995(平成7)年に開業した。運営を巡っては、市が「維持しない」と決め、指定管理料を減らし、2021年度に休止する方針を決めていた。 しかし、地元住民が運営会社「小谷企画」を立ち上げて存続を求めた。このため市が22~24年度、年間1200万円の指定管理料の負担に応じた経緯がある。 市側は4月から運営費を負担せず、小谷企画に無償で施設を貸し付ける。市の担当者は「他市町村と比べて多い公共施設を再編する必要があり、民間に任せられる施設は任せていきたい」としている。