44歳の専業主婦、パク・ヨンハの急逝で韓国語を勉強→51歳で字幕監修者に「自分で稼いだお金で墓参りできたことは、私にとって大きな意味がありました」
勉強はつらかったらやめていい。「好きだから、“ついやっちゃう”が大事です」
最近、花岡さんは、 「勉強が続く秘訣はなんですか?」 と聞かれることが増えたという。 しかし、花岡さん自身、常に伸び悩みもある。それでも続けられるのは、やはり、「好きだから」。 勉強も、仕事も、モチベーションを上げるためには、好きと感じる気持ちがいちばん大事だ。だからこそ、あえて言う。「つらかったらやめてもいい」と。 「人って、好きだったらどんなにできなくてもやると思います。つらいと感じるのは、おそらく、それが好きではないからで、自分が楽しみながら打ち込めるものを探すべきだと思います。 というのも、昨年、趣味でチェスを始めたんです。面白いのでどんどん探究心が湧くし、時間があるとつい遊んでしまうのですが、それは好きだからで、この“ついやっちゃう”が大事なんですよ」 まさに、好きこそ物の上手なれ。 好きなドラマを繰り返し見るのもおすすめの勉強法だ。 「ふだん、家事をしているとき、ずっと韓国ドラマを流しているんですが、30~40回、同じドラマを見ているうちに、セリフや役者さんの表情をマネできるようになるんです。きちんとしたシャドーイングとは別ですが、口マネしているうちにセリフを丸暗記。ふとしたときに言葉が出てきて、『使えた!』ということもあります」 長らく苦しめられたうつ病も、仕事を始めて2年が経ったころに寛解。働くことを反対していた夫はというと、こちらも渋々ではあるが、認めてくれている様子も。 「働き始めた当初、『俺の前で疲れたと言うな』と言われましたが、韓国語でぼやくようにしていたので、それがよかったみたい(笑)」 と笑顔の花岡さん。 苦しいとき、常に味方でいてくれた子供たちも、いまは社会人。2人とも、夫の実家に言われるがままに国立へ進学することはなかった。長男は、自分のやりたい神学の学部に絞って合格。それぞれに目指す道を力強く歩いている。 昨年、長男の結婚が決まった際には、両家の顔合わせを横浜ランドマークタワーで行った。 そこは、20年前の’04年6月、ヨンハの日本デビューアルバム『期別』発売記念ショーケースが行われた思い出の地。場所を選んだのは長男夫婦だったが、その偶然にヨンハとの絆を感じたという。 「彼の生前には、直接本人を見ることができませんでした。でも、遺された出演作品や映像、インタビューなどの活字から、ヨンハの誠実さや飾らない人柄、成長のために惜しまない努力などをひしひしと感じ、いっそう大好きになりました」 なかでも、忘れられないヨンハの言葉がある。 「僕の小さな願いは、みなさんが元気でいること、少しでも幸せになれるように頑張ること、時が経っても夢をなくさないこと、それだけです……」(パク・ヨンハsummer concert 2005より) その言葉を思い出しては、自分を奮い立たせ、努力を重ねてきた。 そして、こうして自分が世間に出ることで、ヨンハを知る人もいるかもしれない、と花岡さん。 取材日は、あいにくの天気だったが、「雨男のヨンハが会いにきてくれたんですよ」と言いながら、うれしそうに空を見上げた。 (取材・文:服部広子)
「女性自身」2024年7月9日号