人類の将来に影響するプラスチック汚染条約。生産制限、問題プラの禁止めぐり国際交渉が山場に
■ヨーロッパや韓国、アフリカなどは規制強化 これに対して、ヨーロッパ諸国や韓国、インド、アフリカ諸国などは、使い捨てプラスチック製品の禁止など、規制強化の動きを強めている。最大のプラスチック生産国である中国も、超薄型レジ袋など一部の製品に限ってではあるが、製造・販売禁止に踏み切った。 しかし、ヨーロッパなどではスプーンや皿、レジ袋など一部のプラスチックの使用禁止といったレベルの対策ではプラスチックごみの総量削減につながらないという問題も判明している。そこで、国ごとの個別の対策では不十分であるとし、分母となるプラスチック生産そのものに規制をかけるべきという声が強まってきている。
「プラスチック汚染を終わらせるための高野心連合」(High Ambition Coalition)は2022年3月の国連環境総会でのプラスチック条約制定を目指す決議を踏まえて結成された。同連合はオタワでの会議を前に、「一次プラスチックポリマーの生産と消費を持続可能なレベルまで抑制・削減するための拘束力のある規定を求める」という文言を含んだ65カ国の閣僚共同声明を発表した。65カ国のリストには日本も含まれている。
国際環境NGOグリーンピースがオタワでの会合を前に実施した、プラスチック条約に関する日本を含む19カ国の市民を対象とした意識調査でも、回答者全体の82%がプラスチック生産量削減の必要性に賛同すると答えている。日本の回答者の賛同率は19カ国のうちで最も低いものの、64%が「強く支持する」「ある程度支持する」と答えている。 グリーンピース・ジャパンの小池宏隆シニア政策渉外担当は、「世界で多くの人たちが、プラスチックの生産削減や使い捨てプラスチック包装の禁止などを支持している」と説明する。
日本では4月10日、環境問題に取り組む大学生・若者らの6団体が、世界共通の法的拘束力のあるルール構築を求める共同声明を、副環境相らに提出した。 メンバーの一人でNPO法人 国際ボランティア学生協会の32期学生代表の小熊日花氏は、「毎年、数百名規模で海岸清掃活動をし、数百トン規模のごみを拾っている」という。 取材に応じた小熊氏は次のように語った。「清掃から数か月後にはまた同じような状態になっている。発生したごみを拾うだけではプラスチック問題の解決は難しい。サプライチェーンの上流部分を見直し、大量生産・大量消費をやめる必要がある。日本政府は野心的な国際ルールのためにイニシアティブを発揮してほしい」。