『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』ポスター

　ほぼ全編がVRゲーム内で撮影されたフランス映画『Knit’s Island（原題）』が、『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』の邦題で11月30日よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開されることが決定した。 【写真】『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』場面写真 　本作は、仮想世界（オンライン）に存在する、ある“島”で繰り広げられるサバイバルゲーム・DayZに映画クルーが潜入し、インタビューを敢行、963時間を過ごしたドキュメンタリー映画。監督は、エキエム・バルビエ、ギレム・コース、カンタン・レルグアルクが務めた。先鋭的なドキュメンタリーを上映するスイスの第54回ヴィジョン・デュ・レールで国際批評家連盟賞を受賞したほか、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023で審査員特別賞受賞、台湾国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞を受賞した。 　時に現実かと思うほど精巧に作り込まれた架空の“島”は、現実世界では不可能な殺人が許された奇妙な世界。クルーは自らも生き延びるためにあらゆる手段を尽くしながら、時に攻撃を受けて死に、生き返りながら人間（アバター）たちと接触を試み、インタビューを敢行した。 　仮想世界上の“島”では、遭遇したプレイヤーや蔓延るゾンビを殺さなければ生き残ることができないが、そこにはカオスの世界で暴虐の限りを尽くす集団だけではなく、“誰も殺さない”を信条とするグループ、自ら牧師と名乗りプレイヤーたちに信仰を施す人物がいた。オンライン・ゲームの世界で愉悦にひたるアバターたちとの出会いを通して、クルーは人間の二面性に直面する。 　さらに、現実ではヴィーガンだがゲーム内では人を殺すカップル参加者、静かで落ち着いた環境を求め既に1万時間も過ごしているという人や目的を持たず、ただぶらついているだけの人も。単なる“娯楽”を超え、人間は何を求めてこの“島”にやってくるのか。遭遇したアバターたちへインタビューを重ねることで、本作は、“人間性の本質”を明らかにしようとしている。