リーダーが足りないのか、それとも見えていないだけなのか?
「何が足りないのか?」から「どんな強みがあるのか?」へ
翌朝、私は考えを整理し、本社に連絡を取りました。 「Aさんをぜひ送ってください。私が責任を持って彼を開発します」 そう伝えた瞬間は、自分の役割を再認識した瞬間でした。 私の頭に浮かぶAさんについての問いは、昨晩までの「何が足りないのか?」という否定的な問いから、180度変化しました。 「Aさんにはどんな強みがあるのか?」 「Aさんには何をやってもらうのか?」 「Aさんが来ることでチームにどんなプラスがもたらされるのか?」 といった前向きな問いへとシフトしたのです。 最終的に、さまざまな事情でAさんは上海に赴任することができませんでしたが、この経験は、私にとって非常に大きな学びとなりました。リーダーの開発とは、相手がどうかではなく、自分の考え方次第である、ということを強く認識させられたのです。 さらには、現地のメンバーと一緒にできることがもっとあることにも気づき、最終的には、日本から人を送ってもらうという選択肢を選ばないことに決めました。 現在の上海のメンバーと一緒にやると決められたのも、この体験によるものでした。
リーダーを創るのは誰か
さて、ここで最初の問いに戻ります。 世の中では、 本当にリーダーが不足しているのでしょうか? もし、あなたが今「リーダーの不足」に直面していると感じているのならば、少しだけ視点を変えてみてください。「あなたが」そう思っているだけということはないでしょうか? もちろん、すべての状況においてこの考え方が適用できるわけではありません。しかし、一度「リーダーの不足」という課題を自分の問題としてとらえ直すことができれば、周囲にいる人材の見え方が変わり、彼らの可能性に気づくことができるかもしれません。 次世代リーダーの開発は、あなたの手の中にあります。 もし、部下のリーダーシップに不足を感じるのであれば、まずはあなた自身がコーチとなって、彼らの成長をサポートする手段を考えてはいかがでしょうか? 次のリーダーの未来は、あなた次第かもしれません。
【参考資料】 ※1 2020 Global Human Capital Trends Report
長田祐典(コーチ・エィ)