ホタテ水着の踊り子? お尻で割り箸折り? 熱海・湯河原・小田原発の大注目バンド「柳家睦とラットボーンズ」とは何者?
――もともとジョニー・キャッシュのような男の哀愁を歌いたかったとおっしゃいましたが、今の楽曲はキャッチ―なメロディで、ムード歌謡やエレキ歌謡などの昭和のレトロな雰囲気が混ざっています。歌謡曲のエッセンスを入れたのはなぜ? 柳家 初期の曲で「売れない男の夜明け唄」っていう哀愁の歌があって、「ああ売れないバンドマン 心配するな俺も売れてない」って歌ったら、客が笑ったんですよ。その時、「こういうのイケるのかもな」とひらめいたんです。今までやってきたサイコビリーとかパンクに乗せて「人生ってさあ」なんて歌うより、美空ひばり辺りに寄せた方が、人を惹きつける可能性があるなと。そんなことを考えていたら、歌謡曲の奥深さに気付いちゃって。すげえ、ここにはいろんな音楽の要素が全部入ってるぞって。 ――確かに美空ひばりにはジャズやラテンが混ざってたり、越路吹雪ならシャンソンの要素があったりしますよね。そこにシンパシーを感じて、歌謡曲というフィルターが出てきたんですね。 柳家 そう。ラテンをやるならキューバを真似るよりリズム歌謡を真似た方が、手っ取り早いし、むしろキューバ「風」にできちゃう。「和製プレスリー」みたいにただ真似るよりも、俺らの聴きこんできた音楽を隠し味にアレンジを作り込んで「和風プレスリー」にすれば、何かが起こるだろうと。 たとえば、ディック・デイルみたいなアメリカのサーフロックに、橋幸夫の「恋のメキシカンロック」みたいなラテンっぽい歌謡曲を入れてみようとか、村田英雄みたいにどっぷり昭和の男らしさに浸らせてみようとかね。楽しみながら音楽をカスタムしているんですよね。 あと昭和の歌謡曲っていまどきのJポップとは違い、ケレン味があって、どこかいかがわしい匂いがしますよね。それもスパイスになるというか。 ――つまり昭和の歌謡曲にパンクやレゲエなどのレベルミュージックをブレンドしてオリジナルのサウンドを作っていると。 柳家 俺たちの音楽って、自分たちでは「レベル歌謡ミュージック」って言っています。他にそんなジャンルの人たちいないから独占状態。でもあまりに唯一すぎると売れないから、もうちょっといい呼び名がないか考えているけど。