圧勝したW杯2度V豪州代表には日本代表のラグビーはどう映ったか?
オーストラリアからは前向きなコメントをもらえた日本だが、近年はやや回り道をしている。2015年のワールドカップイングランド大会で3勝も、エディー・ジョーンズ前HCの後任探しに難航した。 ジョセフHC就任後も苦難が続く。2016年秋には、代表入りを断ったつもりのない経験者が「辞退」と認定されるなどマネジメント面で苦しむ。 国際リーグのスーパーラグビーへ日本のサンウルブズが加わったことで、海外勢とのぶつかり合いへの耐性は強化された。それでもイングランド大会時に武器となったフィットネス、フィジカリティは徐々に目減り。消耗する試合から離れて鍛錬する時期が少ないことなどがその原因だった。2017年6月には、主力を欠くアイルランド代表に2連敗した。 リーチ・マイケルキャプテンの前向きな言葉にも現状の苦しさが覗いた。 「テンポを上げたいのですが、(現状では)体力的に、厳しい。もう少し(身体を鍛えるなどの)強化の時間があったら、自分たちのラグビーができる」 いわば今回は、戦前から断崖絶壁に立たされた格好だった。試合後のジョセフHCは、彼我の状況の違いについてこうこぼす始末だ。 「忘れてはいけないのは、オーストラリアは直前までラグビーチャンピオンシップでニュージーランドや南アフリカなどと戦っているということ。一方、日本代表は(国内の)トップリーグ期間中で、それはアマチュアのレベル。日本代表は集合間もなく、ここまでできた」 この様子をオーストラリア陣営が知っていたら、どんな談話を残したことだろうか。 勝ったワラビーズはこの後ヨーロッパ諸国を回るとあって、フーパーは「タフなゲームをエンジョイできた。我々にとってはこれが春のツアーの最初の試合(自国が南半球のため)ですが、いいスタートが切れた」と述懐。チェイカHCはこうだ。 「きょうの試合の雰囲気は素晴らしかった。数は覚えていませんが、素晴らしい観客でした。チームはマインドセット、姿勢の部分ではよくやってくれたように映ります」 片や日本は今後、フランスでトンガ代表、フランス代表とぶつかり、現実の苦さを知りながらも光明を見出したいところだ。 今後は国内のトップリーグの期間が短縮されるなど、日本に必要な「強化の時間」は担保されそう。2019年のワールドカップ日本大会後まで契約期間があるジョセフHCは、こうも口にした。 「もう少し勝てそうな国とやった方がいいのではないかという意見があるかもしれないが、自分はそんなことはないと思います。ファン、メディアの方も忍耐力を持ってサポートしてほしいと思います」 その「忍耐」の先に光が見えるかどうかの責任を、ジョセフHCは背負っている。 (文責・向風見也/ラグビーライター)