松下洸平主演『放課後カルテ』は後世に語り継がれる作品だ 数々の名シーンを振り返る
身の回りの病気について学び、何度も観返せる『放課後カルテ』
妊娠・出産について知りたいなら『コウノドリ』を観るといったように、小学生自身やその周りの大人に起こりうる病気や問題について知りたいなら『放課後カルテ』を観るという定番ができるかもしれない。そう思わせてくれた時点で、本作は後世に残るドラマと言えるだろう。 小児科医として挫折を経験し、学校医として東多摩第八小学校に赴任した牧野も、子供たちを支え、頭を悩ませる大人の一人。牧野は、小児科医としても、学校医としても完璧とは言えない人物。完璧ではないからこそ、牧野の成長が鮮やかに映る。子供を支える大人たちも、その経験から成長できることを牧野がすべての話数をかけて証明してきた。 第4話、第5話で、羽菜(小西希帆)をきっかけに、自分の殻を破ることができた牧野。自分の中で一つの区切りを迎えたとはいえ、小児科での挫折のきっかけとなった家族との問題が解決したわけではない。第9話では、冴島啓(岡本望来)を励ました病院の帰り道、シングルファーザーの樫井貴之(塚本高史)とその息子・真琴(三浦綺羅)と再会。そして、養護教諭・岩見(はいだしょうこ)が引き継ぎの挨拶をしに、保健室にやってくる。 “学校医”牧野の終わりが近づいている。最終回は、子供たちとの別れを前に、貴之と真琴との問題を解決するために一歩踏み出す牧野が描かれるだろう。一つの学びを提供したドラマが、最後にどんな哲学を提示して終えるのか期待したい。
古澤椋子