父が「昔は200円で銭湯に行けたのになあ…」と嘆いていました。都内銭湯の平均料金はどのように変化しているのでしょうか?
昔は銭湯に気軽に行ける時代がありましたが、今では料金が代わり、少し贅沢な時間と感じる方も多いのではないでしょうか。東京都内の銭湯料金は、どのように変化し、どのようにに決められているのでしょうか。今回は、都内銭湯の料金の推移やその背景にある要因を紹介します。 ▼「シャワーだけ」vs「お湯をためる」1人暮らしはどっちがお得? それぞれの水道代・ガス代を比較
都内銭湯の料金変化
銭湯料金は時代とともに変化しており、上昇傾向にあります。東京都内の銭湯料金(大人)のは表1のように変化しています。 表1
※東京銭湯「都内入浴料金の推移」を基に筆者が作成 東京都内の銭湯料金は、戦後から現在にかけて大きく変わってきています。戦後間もない1948年には、都内の大人の銭湯料金はたったの6円でした。その後、経済の発展や物価の上昇に伴い、徐々に引き上げられ、1970年代に入ると100円を超えるようになりました。 1980年代には銭湯の料金が200円を超えましたが、令和6年8月時点では550円になっています。つまり、お父さん世代が200円で銭湯に通っていた時代と比べると、約2.5倍の値上げ行われたということです。
都内銭湯の料金はどのように決まっているの?
では、銭湯の料金はどのように決定しているのでしょうか。実は、東京都の銭湯料金は、各銭湯が自由に設定しているわけではなく、都内全体で統一されています。これを決めているのは、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(通称:東京都浴場組合)です。毎年の物価や経済状況を考慮して、東京都と協議のうえで料金が調整されます。
都内銭湯の料金が年々上がっている理由
東京都内の銭湯料金は、都道府県知事によって統制された最高限度額に基づいて決定されます。入浴料金の算定には、効率的な経営を前提とした原価や適正な利潤を含める「総括原価方式」が採用されています。この方式では、東京都公衆対策協議会が、銭湯の収支状況を調査し、その結果に基づいて料金の変動を決める仕組みです。 具体的には、都内の公衆浴場の中から代表的な40軒を選定し、これらの直近1年間における会計状況を基に、必要なコストや将来の収支を推定します。 そのデータを元に、燃料費や水道料金、メンテナンス費用などの増減が反映された「収支推定表」が作成され、その結果によって翌年の入浴料金が算定されます。燃料費やエネルギーコストが上昇している現代において、これらの要因が入浴料金の引き上げに大きく影響を与えているのです。 物価や運営コストの上昇により、年々銭湯の維持が難しくなっていることが料金の上昇を促していると考えられるでしょう。