「還暦祭」で真っ赤っか ── 名古屋の大須商店街「どえりゃあ感謝しとるがね」
設立60周年を迎えた愛知県名古屋市中区の「大須商店街連盟」が3月1日まで「還暦祭」を開催中だ。街の歴史を振り返る写真展や商店街の真っ赤な装飾、「60」や「赤」にちなんだ割引を行う感謝セールなどを通じて、お祝いムード一色。期間中の週末には赤いちょうちんの形をした「大須めがね」が配布され、そのインパクトがウェブ上でも話題となるなど、注目を集めている。大須はもともと「大須観音」を中心とする門前町。現在は東京の秋葉原、大阪の日本橋と合わせて日本の三大電気街としても知られるが、古着や雑貨をはじめ、フィギュアのショップ、無国籍かつユニークなグルメ、近年ではメイドカフェなど、新旧の店やサブカルチャーがぎっしり集まり、平日や週末を問わず老若男女で賑わう。そんな大須商店街が、その魅力とパワーを失わずに変わり続けていられる秘訣とは?
大須の街は400年以上の歴史が
還暦祭は21日、同商店街「ふれあい広場」で行われた記念式典からスタート。街のシンボルでもある招き猫は、還暦にちなんだ赤いちゃんちゃんことずきんを身に着け、商店街の各通りは赤ベースの装飾で彩られた。 東仁王門通りの「愛知銀行近くの特設会場」では「大須なつかしの写真展」も開催(3月1日まで)。1929年に大須で生まれ大須で育ったという見物客の女性は「戦争の空襲で子供のころの写真が焼けてしまった。よく遊んだ場所などが写っていてとても懐かしい」と見入っていた。 そもそも大須の街は400年以上の歴史を持つ。1612年。徳川家康の命により、岐阜羽島にあった大須観音が現在の場所に移転したのに伴い、周辺も門前町として徐々に発展。総見寺で名古屋初の博覧会(1871年)、旭遊郭の設置(1876年)、名古屋初の映画館「文明館」開設(1908年)など娯楽や文化も集まり、名古屋一の繁華街と言われるほどに成長した。 しかし第二次世界大戦後、都市計画からはずれてしまい、大通りの誕生と合わせて客足が栄に流れる。そのために大須は「陸の孤島」と言われるほどに寂れた時期も。1978年に始まった「大須大道町人祭」の開催を機に、再び賑わいを取り戻し始める。