【人類史上初】脳とパソコンを接続した米国人男性「驚きの日常生活」…ニューラリンクによって人生が激変していた!
数々のイノーベーションを実現させてきた世界的企業家、イーロン・マスク。彼の悲願ともいえる技術が「ニューラリンク」である。脳にチップを埋め込むことで、脳とコンピューターを接続するという、画期的な試みだ。“思考する”もしくは“念じる”だけで目の前のパソコンを操作できるようになることをイーロン・マスクは目標に掲げており、すでに臨床試験が始まっている。 【写真】脳に1024本の電極を縫い付けて…被験者男性「驚きの日常生活」はこちら 今回、日本のメディアとして初めてニューラリンクを実際に脳に埋め込んだヒト臨床試験の被験者第1号、ノーランド・アーボーに直接インタビューすることに成功した。 前編記事『【脳とコンピュータを接続した男】“念じるだけ”でパソコンが操作できる…!人類史上初「ニューラリンク」被験者第1号に会いに行ってみた!』に引き続き、最新のニューラリンク事情をお伝えする。
ニューラリンクでできるようになったこと
ちなみにニューラリンクの脳チップを埋め込むまで、アーボーは口に加えた棒(マウススティック)でiPadの画面をタッチすることでパソコンを操作していた。「長時間の作業は苦痛の伴うものでした」という言葉の通り、ニューラリンクによって、考えるだけでパソコンを操作できるようになった結果、アーボーの人生は激変した。 「最大の変化は家族からの自立です。自分でパソコンを操作できるようになって、メッセージのやり取りや日本語やフランス語の勉強をいつでもでできるし、将来的には収入を得る仕事につなげていくことも考えています。ニューラリンクは未来への可能性を広げてくれたのです」 脳チップの使用時間は一日大体10時間くらい、2~3回の充電が必要だが、帽子の内ポケットにワイヤレス充電器を入れておくことで外出時でも充電が可能となっている。実際にパソコンの操作を見せてもらった。
スピードチェス世界大会にも参加
「ニューラリンクが提供したターゲットに合わせてカーソルを動かすアプリ『ウェブグリッド』では世界最速記録を保持しています。 『BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェイス)』は以前からヒト臨床試験が行われている技術ですが、ニューラリンクのようなコンパクトなものは初めてで、脳チップの連続使用の最長記録を更新し続けています。 チェスゲームについてはつい先日、フランスで開かれたスピードチェス世界大会に招かれ、実際にパリまで遠征して数百人の観客を前に、念じるだけでチェスをプレイする様子を披露しました。脊髄を損傷して以来、もう海外旅行は無理だと思っていたので感動的な体験でした。次はぜひ日本に行きたいです」 意気揚々と語るアーバーだが、埋め込み施術の数週間後、デバイスの不具合があった。ニューラリンクも公式に認めていることだが、最初に脳に縫い付けた電極のうち85%が抜けてしまい、残りの15%で機能するようにプログラムを書き換えることで対応した。その結果、実用上の性能は向上している。 電極が抜けてしまった原因は、人間の脳の収縮幅が想定よりも大きかったからという。今年7月に2人目の被験者アレックス氏も埋め込み済みだが、縫い付けるときの深さを延長することで、その後の不具合は報告されていないという。 また、ニューラリンクは盲目を克服するためのFDAの承認も得ており、「ブラインドサイト」と名付けられたデバイスを脳の視覚野に接続することでカメラの画像を直接に脳に送り込み、視力の回復を図る計画も進んでいる。