レジャーシーズン前に合同訓練 奄美海保とダイビング安対協 8年ぶり潜水訓練も
奄美海上保安部(大場伊佐大部長)と奄美群島地区スキューバダイビング安全対策協議会(中田留弘会長、会員37事業所)は13日、鹿児島県奄美市の名瀬港新港地区で合同の潜水訓練を実施した。ダイビング中の事故を想定し、海中での行方不明者の捜索や溺れた人を海上に引き上げる訓練を協力して行い、救助活動に関する知識や技能を高めた。 同協議会は1989年に発足。群島内のダイビングショップなどで構成され、安全で秩序ある海洋レクリエーションの普及と発展に寄与することを目的に活動している。海保との合同潜水訓練は2016年以来8年ぶり。 13日は奄美海保、古仁屋海上保安署所属の巡視艇「いそなみ」乗組員、同協議会から計24人が参加。いそなみの潜水士3人が講師を務めた。 参加者は海保で使われる救助用資器材の紹介を受けた後、空気ボンベなどの装備を背負って海中へ。いそなみ潜水士の指導の下、長さ20メートルの索と呼ばれるロープを横並びでつかみ、真っすぐ進んだり、円を描くように進んだりして行方不明者を探す探索訓練と、海底に沈んだ人を気圧の変化などに気を付けながら海面のゴムボートに引き上げる訓練の二つを実施した。 瀬戸内町で体験ダイビングやシュノーケリングなどのツアーを提供する祝隆之さん(34)は「協力して(要救助者を)引き上げることの重要さを実感した。救助用資器材なども見て、自分たちの船でどうすればよいかを考えるいい機会になった」と感想。一緒に参加した且零士さん(26)は「船の上からの捜索経験はあるが、海に潜っての捜索訓練は初めてでいい経験になった」と話した。 奄美海保警備救難課の村上勇課長(47)は「事業者が集まり、事業者同士や海保と協力できる体制が確認できてよかった。これから梅雨が明け、レジャーシーズンの最盛期を迎える。訓練などを通じて、関係機関と一緒に海の事故防止に取り組んでいきたい」と総括した。 奄美海保によると、群島内で過去5年間(19~23年)のダイビング中の事故者数は11人で、うち4人が死亡している。