なぜ”令和の怪物”ロッテ佐々木朗希は前回KOの楽天にリベンジを果たし復調の8勝目を手にすることができたのか?
開幕からバッテリーを組んできた高卒ルーキー、松川虎生が24日の西武戦でヘッドスライディングを試みた際に右肩を痛めた。登録を抹消するほどではないが、それでも違和感が残る状況を前にして、井口監督は佐藤の先発起用を決めた。 2019年のドラフト会議で、佐々木は岩手・大船渡高から1位で、佐藤は東洋大から2位でロッテへ入団した。バッテリーを組むのは佐々木の一軍初登板初先発だった昨年5月16日の西武戦、同27日の阪神戦に続く3度目となる。そして、甲子園のマウンドに立った後者で、佐々木は5回4失点ながらプロ初勝利をあげている。 「しっかりリードしてくれて、思い切り投げることができました」 1年3ヵ月ぶりにコンビを組んだ同期生の佐藤へ、佐々木は感謝の思いを捧げた。2回以降はこの日の佐々木が自信を持つとわかったフォークを、カウントを取る場合と三振を奪いにいく場合と投げ分けさせ、中盤以降は120km台後半のカーブを効果的に織り交ぜた。直球に威力が戻ったからこそ、変化球との緩急が楽天打線を翻弄した。 リードだけではない。イニングの合間には佐々木としっかり話し合いながら、終えたばかりの投球をチェックし、次のイニングへ備える作業も怠らなかった。打力を生かし、一塁手や外野手でプレーしている間も、いざという状況に備えて常に準備を積み重ねていた佐藤と、そのリードに応えた佐々木の共同作業に井口監督も目を細めた。 「(佐々木は)今日に関しては変化球で上手くカウントを整えていたし、非常に素晴らしいピッチングだったと思っています。(佐藤)都志也もいいリードをしてくれて、その結果としてしっかりと抑えられたと思います」 楽天の先発・岸孝之との投げ合いは、3回に飛び出した荻野貴司の5号ソロによる1点を佐々木が守り抜き、8回には安田尚憲の4本目の安打がタイムリー二塁打となってダメ押し点をゲット。守っては唐川侑己、オスナのリレーで零封した。 143試合を戦う長丁場のペナントレースも残り30試合。マメをつぶして戦線離脱を余儀なくされた期間以外にも、蓄積疲労を考慮されての登録抹消が2度を数えながら、それでも佐々木はロメロに並ぶチームトップの8勝目(3敗)をマークした。 中6日のローテーション通りなら、次回登板はZOZOマリンスタジアムで9月2日に行われるオリックス戦。4月10日に完全試合を達成した同じ相手と同じ舞台で、初めて本格的に担った一軍ローテーションを通してさまざまな経験を積み、それらを糧に成長した佐々木が再び無双状態を取り戻すかどうかが問われる。