なぜ”令和の怪物”ロッテ佐々木朗希は前回KOの楽天にリベンジを果たし復調の8勝目を手にすることができたのか?
敵地・楽天生命パークで先発した佐々木は、初回に島内のタイムリー三塁打でいきなり先制を許した。4回からは茂木栄五郎、浅村、鈴木に3イニング連続でスタンドへ運ばれた。プロ初の1試合3被弾で6回を自己ワーストタイの5失点と崩れた佐々木を救い、7勝目を贈ってくれたのが、6点を叩き出した味方打線だった。 楽天との前回登板は、先発予定だった17日のオリックス戦(ほっともっとフィールド神戸)が雨天中止となり、初めて経験するスライド登板が少なからず影響していた。しかし、佐々木はいっさい言い訳をせず、ベクトルを自分自身へ向けた。 試合中に右手中指のマメがつぶれた関係で、3日の楽天戦(楽天生命パーク)まで、公式戦の登板に1ヵ月あまりのブランクが生じた。しかも、復帰後の3試合は17回と3分の1を投げて失点13(自責点12)、防御率6.24と精彩を欠いた。 3年目で初めてローテーションの一角を任されている今シーズン。原則として週に一度の先発だからこそ、心身のコンディションをしっかりと整え、球数が100以内と制限されている状況下で、チームを勝利に導く投球をしなければいけない。 しかし、3日の楽天戦は6回途中で5失点KOされ、10日のソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)でも6回3失点で降板。このときは2回に柳田悠岐のソロに加えて連続スクイズで一挙3点を失うなど、完全試合を達成した佐々木の難攻不落ぶりを潔く認め、どのような手を使ってでも勝とうとするプロの執念に屈した。 だからこそ、前回登板で自身の連敗を止めたとはいえ、フォークの制球が乱れ、炎上した投球内容に納得できなかった。先発ローテーションを担う自覚と責任を修正力に変えながら、6日の間に変貌を遂げた自身の投球を佐々木はこう振り返る。 「前回から上手く修正できたと思います。コントロールも前よりよかったですし、フォークもいいところにいってくれた。そこがよかったかなと思っています」 初回は先頭の西川遥輝を力で押し込み、カウント1-1からの3球目、内角高目にズバッと食い込む159kmの直球で捕手ファウルフライに仕留めた。続く小深田大翔への3球目の直球で早くも160kmをマーク。4球目の143kmのフォークはスライダー回転しながら、最後は小深田の左足に当たって大きく弾んだ。 しかし、落ち幅を含めた変化があまりにも鋭かったからか。小深田のハーフスイングは止まらず、この試合で最初の三振を奪った。続く浅村も外角高目の159km、真ん中低目の158kmのストレートを投げ込んで簡単に追い込んだ。 そして、外角低目に外れる144kmのスライダーで目先を変えた直後の4球目。今季初めてバッテリーを組んだ佐藤のサインに、佐々木は首を横に振った。投じたのは小深田への一投で手応えをつかんだフォーク。外角低目に鋭く落ちる144kmの軌道を前にして、腰砕けになった浅村のバットはあえなく空を切った。