【バイタルエリアの仕事人】vol.34 古川陽介|「自分の間合いに引きずり込む」。常に”相手の逆を取る”ドリブルの極意「プレミアは参考になる選手が多い」
「今季は実力を発揮できなかったイメージが強い」
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第34回は、ジュビロ磐田のMF古川陽介だ。 【動画】古川のドリブルテクニック講座 滋賀県出身の古川は、小学1年生の時に地元のAZUL FCでサッカーを始める。その後、中学時代は京都サンガF.C.U-15でプレーし、高校は名門・静岡学園に進学。3年生時には10番を背負った。 卒業後の2022年にジュビロ磐田でプロキャリアをスタートさせて、2年目の今季はコンスタントに出場機会を得ており、チームの1年でのJ1復帰にも貢献。成長著しい期待の若手が今シーズンを振り返った。 ――◆――◆―― チームとしては、目標としていた1年でのJ1復帰というのを達成できたので良かったです。最終節の栃木SC戦(2-1)は難しい試合でしたが逆転できました。運もありましたが、シーズンを通してみんなが一丸となって、勝つべき試合を落とさなかったのが昇格に繋がりました。 でも上位チームに対して勝てなかったところであったり、そういうゲームでの試合内容もまだまだ。来季はより厳しい戦いが待っているので、改善していかなければいけないと思っています。 個人的には、今季はプロ1年目に比べると、途中出場だけでなくスタートから出る試合もあって、出場時間が増えました。緊迫したゲーム状況の中でも長い時間、使ってもらえるようになって、それは強度の部分や、90分を通してのプレー、求められている守備のタスクをこなせるようになってきたことが大きかったと思います。 それでも序盤は試合に絡めなくて苦しかったですし、納得のいくシーズンではありませんでした。持ち味を出せている場面もあったし、魅せるプレーや、チャンスメイクもできていました。でも、まだまだ実力を発揮できなかったというイメージが強いですね。
「神戸戦のゴールはしてやったり」
ジュビロには、昨年まで日本代表でコーチを務め、カタール・ワールドカップという大舞台も戦った横内昭展監督だけでなく、遠藤保仁や山田大記など経験豊富なベテランも在籍する。古川はそんな指揮官や先輩たちから、どのような影響を受けているのだろうか。 ――◆――◆―― 横内監督は就任1年目というのもあり、チームの基盤作りをしていて、サッカーの本質的なところを重点的に指導してくれています。自分は球際や切り替え、攻撃の時に前に出ていくパワーのところは何回も言われていて、プレーのクオリティも求められています。 またジュビロにはヤットさん(遠藤保仁)だったり、大記さんのような経験豊富な選手がいます。一緒にプレーをしてみて、スペースを共有しながら頭を使ってサッカーをしているのがとても印象的で驚きました。 あと、(大津)祐樹君を見ると、特長を持っていて無理が利く選手は重宝されるなと感じています。僕とはプレースタイルが違う方々ですけど、良いところを盗んでいきたいです。 先輩たちからは紅白戦でのプレーなどで「今の動き、使えるぞ」とかアドバイスももらっていますし、「自分の武器を出していけよ」というのは常に言ってくれています。 天皇杯3回戦のヴィッセル神戸戦(2-5)での得点は、自分の狙い通りでした。J1首位のチームに対して、どれだけやれるかを意識して試合に臨んで、止められる場面もありましたけど、一発何か残したら、こっちの勝ちやなと考えてプレーできていました。 あの場面では、左から仕掛けてペナルティエリア内に侵入する時に、酒井(高徳)選手と山口(蛍)選手の間を突破して、シュートまでのイメージがしっかりと浮かんで、打つ前から決められる感覚はありました。切り返しをするふりをして相手の股を抜くフェイントは僕の十八番でもあるので、「してやったり」という感じでした。