クリエイター兼経営者の多田智さんが語る“スーツの意味”「僕にとっては天才の証し」
「普段はまったくといっていいほど、スーツは着ないですね。カチッとした、いわゆるビジネススーツ的なものは一着も持っていません」。 ▶︎すべての写真を見る スーツについてこう語る多田智さんが率いるGOKKOは、クリエイター集団「ごっこ倶楽部」を運営するエンタテインメント企業。オリジナルの縦型ショートドラマを制作し、TikTokをはじめとする各種プラットフォームで配信している。 この夏に資金調達を実施し、シリーズBラウンド(成長途上のグロース企業)として11億円もの調達を成功させた大注目の企業だ。 多田さんはその代表だが、経営者というよりもクリエイターとしての意識のほうが強いという。
「自分でやっていていちばん楽しい、面白いと思っていることで起業し、仕事にしているので、ドラマ制作自体を仕事と捉えていないんです。趣味を続けているようなイメージですね。 だから、よく言うオンオフのスイッチは僕のなかにはないし、服を切り替えることもない。そもそも、スイッチを切ってしまったら必要なこともキャッチアップできなくなる気がするし、そんな時間はもったいないじゃないですか」。 今回着用したのは、日本が世界に誇るファッションデザイナー 相澤陽介さん率いる「ホワイトマウンテニアリング」のセットアップスーツ。 ポリエステルでウールの表情を再現したテックツイード製で、着心地は軽やか。随所に配されたパイピングも面白い。
人の心に響くクリエイティブのヒントは、普段の何気ないシーンにこそ潜んでいるもの。 “日常で忘れがちな小さな愛”をテーマとするGOKKOのショートドラマは、常に感性を張り巡らす多田さんの鋭敏なクリエイティビティに支えられているのかもしれない。そんな多田さんもスーツに袖を通す機会はあるという。 「弊社が手掛けるショートドラマは、映画やドラマのまったく新しい領域であり、最先端の映像エンタテインメントとして世界中で注目されています。 おかげさまで弊社の作品もさまざまな賞をいただく機会が増えたのですが、そういったアワードの授賞式にはスーツを着て臨むようにしています。その際もクラシックなスーツではなく、今回着させてもらったようなデザイン性のあるスーツをTシャツで着崩すようなスタイルですけどね。 僕には天才の定義があり、才能があるだけではなく、才能を世間に認めさせた者こそが天才だと思っています。賞をいただくということは、まさに才能を認めていただいたということ。そんな特別な瞬間に相応しい、自分をラッピングしてくれる特別な服こそが、僕にとってはスーツなのです。 多くのビジネスパーソンにとってスーツは信頼の証しかもしれませんが、僕にとっては天才の証し。晴れ舞台で輝くための晴れ着なのです」。