多くの音楽家に影響を与えた文豪ゲーテ。ただし、モーツァルトは除く…?【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
モーツァルト 歌曲『すみれ』 ゲーテとモーツァルト唯一のコラボ作品
今日3月22日は、ドイツの文豪ゲーテ(1749~1832)の命日です。 詩人、劇作家、小説家、博学者、政治家、法律家……。彼の業績に付随した肩書を列挙してみるだけでもその凄さが伝わってくる偉人ゲーテは、音楽の分野においても多大な功績を残しています。 名作『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』がオペラ化されたのはもちろん、ベートーヴェン(1770~1827)の劇音楽『エグモント』もゲーテ作品です。 中でも重要な位置を占めるのが、言葉と音楽を美しく結びつけた「ドイツ・リート」における成果です。 “歌曲王”とたたえられるシューベルト(1797~1828)は、若い頃からゲーテを敬愛し、その詩を題材にした70曲以上の美しい歌曲を残しています。 一方、モーツァルト(1756~91)が手がけたゲーテ作品は、1785年に作曲された歌曲『すみれ』のみ。ところがモーツァルトは、これをゲーテの詩だと知らずに作曲したのだとか。いかにも天真爛漫なモーツァルトらしい逸話です。いずれにしても、多くの音楽家の創作意欲を刺激したゲーテは、音楽史上不可欠な存在です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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