正月は「餅ののど詰め」など注意 救急救命士に聞くイザという時の対処法は
のど詰め事故が起きた時、周囲の人はなにをすればよい?
では、餅がつまった時、そばにいる家族にできる対処法はあるのだろうか。西川さんは、まずは119番通報するようにと話す。 通報の際は、慌ただしい状況になるが、まずは落ち着いて場所と何が起きているかを確実に伝えることが重要だ。そうすれば、電話の向こうの消防通信指令員が対応するため、その指示に従って行動ができるという。 西川さんは「例えば、ご家族が餅をのどにつまらせた場合はすぐに119番通報していただきます。すると通信指令員が『火災か救急か?』と聞きます。聞かれたら『家族が餅をつまらせた』と話していただけたら、通信指令員から処置の誘導がありますので」と説明する。
餅がつまった場合の効果的な対処法「背部叩打法」
また、のどに餅などの食べ物が詰まった場合、近くにいる家族ができる対処法のひとつに「背部叩打法(はいぶこうだほう)」という方法がある。 これは肩甲骨と肩甲骨の間を強く手のひらで叩く方法。「要するに背中に刺激を与えて咳をさせ、自分の力で出させるという方法をとったほうがよいと思います」と西川さんは、ほかの署員を呼んで実演してくれた。 実際に、のどに食べ物を詰まらせた場合は両手で首を抑えることが多いという。そこで、家族など周囲の人が詰まらせた本人に「背中を叩きますよ」と呼びかけ、思い切り手のひらで叩く。西川さんいわく「『出ろー』という感じで強く叩いていただく感じになります」と話していた。
冬場は「ヒートショック」にも注意
また、西川さんは過去の救急隊での経験から「この季節に多いのがお風呂場などで起こりやすいヒートショックです」と話す。ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が上下することで心臓などの血管に大きな負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなる現象だ。 特に正月なども気温が低いことが多く、ヒートショックを防ぐことが必要となる。西川さんは「これも例えですが、一番風呂などは寒暖差が激しいため、先にお風呂のふたをあけて、床にお湯をまくなどし、蒸気であたためるとか工夫があればいいかと思います」と教えてくれた。脱衣場も冷えやすいことが多いため、暖めておくのもよいそうだ。 ふだん何気ない生活を送っていても、以上のことはいつでも起こりうる。しかし、もしそうした場面に遭遇した場合、こうした対処法を覚えておくだけで、尊い命を救うことにつながるのではないだろうか。