「パスポートはお持ちですか?」「携帯を切り車に乗りなさい」...日常の中で反戦ジャーナリストを突然襲う、ロシア当局〈E〉のヤバすぎる「やり方」
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第31回 『「群衆の中には〈E〉の連中がたくさんいる」…ロシアの反戦集会に潜む政治警察が反体制者を摘発するヤバすぎる手口』より続く
犬の散歩中に...
「ベリー、ベリー、さあお散歩だよ」犬を呼んだ。 ベリーはうれしそうに尻尾を振りながら、子犬と一緒にこちらに駆けてきた。ショートパンツにスニーカーで、近くの森へ散歩に行くことにした。 居住区の出口で近所のアルトゥールと会った。 「よう、調子はどうだい?」自転車でこちらに近づいて話しかけた。 アルトゥールは中央アジア生まれだが、もう長くモスクワに住んでいた。わたしたちが知り合ったのは、生放送での抗議の後だった。友人や知り合いが背を向けた時、アルトゥールは支援を申し出てくれた。戦争の前まではニューヨーク証券取引所と商売をしていたが、経済制裁後、ビジネスは破綻した。アルトゥールはナヴァリヌイの支持者たちとも親しくしていた。メッセンジャーのアバターには「ロシアは自由になる!」と書かれていた。 「まあ順調です」わたしは答えた。
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