独自の電子地域通貨「つんPay」に利用者「便利」、お店「手間が省ける」 好評の一方で登録者数は… 高齢者向け教室、ポイント付与などで増加狙う 薩摩川内
鹿児島県薩摩川内市が独自の電子地域通貨「つんPay」を導入してから、9月で1年が過ぎた。市から支給されるポイントをスマートフォンを使って買い物などに利用できるサービスに、利用者からは便利だと評価する声が聞かれる。一方で、登録者数は目標に届いておらず、どう普及させるかが課題となっている。 【写真】スマホ教室でつんPayの使い方を習う参加者(手前)ら=薩摩川内市の斧渕地区コミュニティセンター
11月上旬、高齢者らが熱心にスマホに向き合っていた。薩摩川内市東郷で開かれた、つんPayの使い方教室。参加者は1時間ほどかけてアプリのインストールや支払い方法などを習うと、1000円分のつんPayポイントが贈られた。参加者からは「つんPayは知らなかったが、丁寧に教えてもらえて助かった。早速、近所の店で使いたい」との声が聞かれた。 ■□■ つんPayは、薩摩川内観光物産キャラクターの「西郷つん」をモチーフにしたアプリ。導入に伴い、市は商品券などを配布する際に紙か電子ポイントかを選べるようにした。消費者の利便性向上や事業者の事務負担の軽減が狙い。ポイントを支払いに使える加盟店の多くが市内にあるため、地域内でお金が回るというメリットもある。 電子化が好評なサービスの一つが、出産した世帯への応援券だ。以前は対象の市民が市役所窓口で申請し、紙で受け取っていた。つんPayなら24時間いつでもスマホで手続きし、ポイントで受け取れる。利用した同市平佐町の会社員平野亜利沙さん(26)は「産後は動くのが大変なため、非常に助かった」と話す。
歓迎の声は店側からも聞かれる。利用者が店舗に置いてあるQRコードを読み取って支払うため、商品券の数え間違いや紛失などのリスクが低減できる。同市西向田町の衣料品店「TM.セカンド」の宮内加代子さん(41)は「事務作業の手間が省けて人的なミスも減らせそう」と期待する。 ■□■ 利用者から好評な声が聞かれる一方で、アプリの普及が課題だ。12日時点の登録者数は1730人。市が24年度に目指す5000人の35%程度にとどまる。加盟店は200店余り。 認知度を高めようと市が4月に始めたのが「SDGsポイント」だ。先のスマホ教室参加のほか自治会の新規加入、市のアンケート回答などの活動にポイントを付与している。市スマートデジタル戦略室の福山勝広室長(53)は「高齢者が対象となるメニューは限られている。高齢者が参加する既存の事業につんPayを活用するなどして利用者を増やしていきたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島