なぜオールブラックスはアイルランド指揮官に「胸が張り裂けそうだ」と言わせるほど圧勝できたのか?
10月26日、神奈川・横浜国際総合競技場での準決勝の相手は、イングランド代表だ。この日、大分スポーツ公園総合競技場でオーストラリア代表を40-16で倒した。強烈なディフェンスのプレッシャー、スタンドオフに入るオーウェン・ファレルの試合運びに定評があるチームだが、注目は、前日本代表ヘッドコーチだったエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの存在だろう。 母国のオーストラリア代表の指揮官として2003年のオーストラリア大会で準優勝したジョーンズ・ヘッドコーチは、2007年には、南アフリカ代表の軍師としてフランス大会で優勝。さらに2015年のイングランド大会では、それまでW杯通算1勝だった日本代表を率いて南アフリカ代表などから歴史的3勝を挙げている。 イングランド代表のヘッドコーチに2016年に就任。さっそく剛腕ぶりを発揮してイングランド大会では、屈辱の開催国初の予選敗退を喫したチームにテストマッチ18連勝を経験させるなど再建に成功した。2018年11月にオールブラックスと戦った際も15-16と、わずか1点差まで肉薄していて、この準決勝のカードを事実上の決勝と見る識者もいる。 世界中のファンが注目する決戦を前に、オールブラックスのスティーブ・ハンセン・ヘッドコーチもさぞ気合いが入っていよう…。 いや違った。 「今日は、準決勝の話をする夜ではない。日曜から次の土曜まで時間があるので、少しリラックスする必要がある。きょうは特別なテストマッチ(代表戦)に勝ったことを楽しみたい。イングランド代表についても、明日以降に考えます」 メディアが期待したような発言をせず会見場を後にした。 このヘッドコーチの姿勢は何を意味するのだろうか。 (文責・向風見也/ラグビーライター)