<リオ五輪>日本は4年後に女子マラソンの高速化に対応できるのか?
エースの福士加代子(ワコール)が「金メダル」を目指していたが、予想以上に厳しい戦いが待ち構えていた。人気種目である女子マラソンは、福士が14位、田中智美(第一生命)が19位、伊藤舞(大塚製薬)が46位。「メダル」どころか「入賞」にも届かなかった。順位以上に“惨敗感”を強くしたのが、レース内容だ。 先頭集団は30人ほどで、最初の5kmを17分23秒で通過した。日本勢は好位置をキープしていたが、周回コースの海岸沿いに出るとペースが上がり、8.8km付近で3人はトップ集団から10mほど遅れる。福士と田中はトップ集団に復帰するも、田中に続き、中間点を過ぎて福士もトップ集団から脱落。この時点で、メダルの可能性は絶望的になった。 トップ争いはキルワ(バーレーン)、ディババ(エチオピア)、スムゴング(ケニア)の3人に絞られ、スムゴングが2時間24分04秒で優勝。「金メダルとれなかった─」と叫んだ福士は2時間29分53秒の14位で、日本勢は5分以上も引き離された。「ペースのアップダウンもあってついていけなかった」と田中が言えば、伊藤も「早い段階から、きつくなってしまった」と話すなど世界の高速レースにまったく対応できなかった。 レース直後のインタビューでは、「暑くて、いろんなことがしんどかったけど、金メダルを目指したから最後まで頑張れました」と福士が笑顔を見せるも、女子マラソンの惨敗は日本陸上界にとってショッキングな出来事だった。日本陸連は今回のリオ五輪で「メダル1、入賞5」という目標を定めている。そのなかで女子マラソンは「メダル」の期待も高く、最低でも「入賞」をという状況だったからだ。 日本の女子マラソンは、バルセロナ(銀/有森裕子)、アトランタ(銅/有森)、シドニー(金/高橋尚子)、アテネ(金/野口みずき)と4大会連続でメダルを獲得するなど、オリンピックで強烈な輝きを放ってきた。しかし、今回で3大会連続のメダルなし。リオで惨敗した原因はどこにあったのか。 スタート時点の気温は19度も、強い日差しが照りつけ、気温はどんどん上昇していた。ランナーの体感的にはかなり暑く感じたことだろう。それでもメダル争いは「2時間24分前半」で展開された。日本勢のベストタイムは福士が2時間22分17秒、田中が2時間23分19秒、伊藤が2時間24分42秒。上位選手の実力を考えると、2時間20分切りの力がないと「メダル」争いは難しかった。日本勢はスピード的に2~3分の“遅れ”があったといえる。福士と伊藤に関しては、ケガの影響もあったようだが、狙うべき本番にいかに仕上げることができるのか。それがアスリートとして大切な能力だ。そういう意味でも完全に実力不足だった。