信頼性が失墜したのは「オールドメディア」という器ではない、そこにいる人間の問題だ
問題は、「メディア」以前の、かれらが作っている「ニュース」自体の存続の意義である。 わたしは、以前この欄でも書いたが、ただ不快になるだけのニュースは見ない。まるっきり無意味なニュースも見ない。 ※関連記事 世間に疲れたら「人断ち」「情報断ち」してはどうか―情報が入りすぎると心が動かなくなる ■ 「ニュースは基本的に何の役にも立たない」 新聞やテレビで流されるニュースの9割は不要であると思っている。 ロルフ・ドベリという実業家兼評論家のスイス人は、いまから14年前、2010年から完全なニュース断ちをしている。新聞はすべて購読を止め、テレビも捨てた。 ドベリはそのとき44歳だったが、それまでのドベリはニュース中毒だった。あらゆるニュースを読んだ。そのことで、「知識」がつき、「世界との一体感」を味わい、世界を「見通す力」を獲得したと思った。 そんな人間だったドベリが、いまはこう書いている。 「あなたの人生における重要なこととニュースには、なんの関連もない。ニュースは楽しめる場合もあるが、基本的には何の役にも立たない。だがそれを認めることへの心理的な抵抗の大きさから、この事実を受け入れられない人は多い」(『News Diet 情報があふれる世界でよりよく生きる方法』サンマーク出版、2021) これにわたしは完全に同意する。わたしがニュースの9割は不要だ、というのはこの理由からである。 マスメディアに対するネットの優位性があるとすれば、それはこういう番組にある。 12月6日21時から1時間にわたって配信された「高橋洋一チャンネル特別ライブ 話題の男・玉木雄一郎氏に訊く」はじつに見ごたえがあった。 こんな議論は地上波では絶対にできない。 財務省に楯突けない大新聞もできない。 石破総理は「103万円の壁」減税を党税調に丸投げしている。しかし税調はまるっきりやる気がなく、減税は再来年、と寝ぼけたことをいっている。 そこで高橋洋一は、税調の宮沢・後藤は古川元久にまかせて、玉木には、国会で石破総理と加藤勝信財務大臣相手に議論をしかけよ、と焚きつけているのだ。 すなわち石破を乗せて、来年3月の確定申告に間に合うよう、「石破減税でも玉木減税」でもいいから、ぜひ国会でやってほしい、と玉木に発破をかけたのである。 玉木は「やりましょう」「がんばりますわ」といっていたが、いささか頼りないような気がする。大丈夫か。
勢古 浩爾