太陽観測機「SOHO」の観測で発見された彗星が5000個に到達!
■市民科学が科学的研究に影響を与えた一例
SOHOの撮影画像によって彗星が初めて発見されたのは1996年8月22日(C/1996 Q2)のことでした。それから約28年で5000個もの彗星が発見されたことで、サングレーザーに関する様々なことが判明しました。 例えば、サングレーザーは少なくとも5つのグループに分かれており、その中には「クラハト2群(Kracht 2 group)」という、属する彗星がわずか10個しか見つかっていないものもあります。このような珍しいグループを見つけるには多数の彗星を観測する必要があり、SOHOの長年の観測体制と、画像から彗星を発見する市民科学プロジェクトで多くの参加者の協力が無ければ成し得ない天文学的成果であると言えます。 SOHOによって発見される彗星の大半は、太陽への接近後に生き残ることはありません。しかし、蒸発した彗星由来物質の流れは太陽風や磁場の影響を受けるため、太陽活動を探る大きな手がかりとなります。数多くの彗星を観測することは、太陽の様子を観察することにも役立ちます。 さらに、先述の通り、SOHO-5000はマックホルツ彗星との関連性が指摘されているグループに属していますが、マックホルツ彗星は「おひつじ座昼間流星群」や「みずがめ座δ南流星群」との関連性が指摘されています。彗星の観測数が増えれば軌道をより正確に知ることができるため、SOHOによる彗星の観測はこれらの流星群の起源を正確に解き明かすことにも繋がるでしょう。 Source Karl Battams. “SOHO-5000!”. (The Sungrazer Project) Vanessa Thomas. “ESA, NASA Solar Observatory Discovers Its 5,000th Comet”. (NASA)
彩恵りり