カスハラ対策の根幹は「従業員の安全」、組織トップは金儲けばかり考えず従業員を守れ
■ 組織が、社員・従業員を防衛するという覚悟 おそらくカスハラはなくならないだろう。しかし喫煙率が激減したように、電車内で携帯電話を話す人間が減少したように、減らすことはできるはずである。 だからといって、現場の人間に、カスハラに立ち向かえなどと無責任なことはいえない。組織のために我慢するのではなく、自分の身の安全を第一に考えるべきである。 もし会社(組織)が、なにがあっても社員・従業員を防衛するという覚悟を示すなら、社員のなかから堂々と反論するものが出てくるかもしれない。その結果、たとえ刑事事件になったとしても、会社(組織)は従業員を断固として守る、と示すことである。 カスハラをなす者は「客ではない」。そんな客に忍従することはない。社員・従業員は、むやみに委縮することなく、「断る」「拒否」を含んだ毅然とした対応をとっていい。妥当な対応をした社員の責任は問わない。 会社(組織)がすべきことはそれだけでいい。徹底して、社員を守る。この基本方針を決めるだけでいいのである。 あとの具体的な対応は現場にまかせるしかない。対応する者を孤立させてはならない。できるだけ同僚が複数で対応する。ときには他の客も加勢をするならなおいい。またコンビニには警備会社や警察に通報する防犯システムがあるはずだから、それを使うことを躊躇しないことである。 カスハラをする者は、警察は民事不介入だから平気だと、生意気にこんなことだけは知っている者がいるが、「殺すぞ」といえば脅迫罪になり、土下座や謝罪強要など理不尽な言いがかりや恫喝は、威力業務妨害罪にあたるのである。 日本人は、世界一従順にならなくていいのだ。 外国では店員が(ときに女店員が)、カスハラをする者どころか、犯罪者相手に箒などで反撃するのを見て驚くことがある(ときには拳銃相手にも)。バスの運転者も反撃する。そこまでしなくても、最初から一方的に攻撃されまくって耐える、などしないでいいのである。
勢古 浩爾