「原発の町」富岡町が避難解除 町に少しずつ増える“ぬくもり”と決意の火
公園に竹あかりが灯る中、黙祷が始まりました。4月1日午前0時。福島第2原発がある福島県富岡町は避難指示が解除(一部地域除く)されました。東日本大震災と福島第1原発事故から6年。その第1原発も北約10キロにある「原発の町」は、転機を迎えます。立ち入りが可能となった4年前から少しずつ、「人のぬくもり」が増えていました。 【写真】全町避難の富岡町ルポ(上) 警戒区域解除「線量管理は自己責任」(2014年3月掲載)
◇ 富岡町南部の岡内東児童公園に集まった町民は、雨の中、避難解除のときを静かに迎えました。割った竹に明かりを灯し、静かな音楽に耳を傾け、そして犠牲者を追悼しました。 また公園内には、献花の絶えない「鉄の塊」が「震災遺産」として保存されています。2人の非番警察官が乗っていたパトカーでした。海岸近くで避難誘導していましたが、津波にのまれ、1人はいまだ行方不明です。 富岡町は「地震、津波、原発事故」という史上類をみない「三重複合災害」を経験しました。その困難な中でも、再生に向けた動きがこれまで行われてきました。
生活のライフライン「コンビニ」
東北へ向かう大動脈・国道6号線を北に進み、楢葉町から富岡町に入ると、最初の信号は、福島第2原発への入り口です。平日は多くの車やバスが右折して第2原発へ向かいます。
北上するとまもなく「セブンイレブン上郡山店」が見えます。コンビニは「生活のライフライン」。全町避難中の昨年3月末、小売店舗として原発事故後初となる再開は、この店でした。車が吸い寄せられるように次々止まり、コンビニの「引力」を実感します。 その先に「下郡山集会所」があります。立ち入り可能になった3~4年前、町は防護服の着用をよびかけており、町に入る前、薄い素材の防護服や帽子などを着用した場所です。いまは町の除染もほぼ終わり、その役割を終えました。
まちづくりの拠点「ショッピングモール」
さらに北上すると、町の中心部です。右側に現れる「さくらモールとみおか」は、以前「トムトム」の愛称で親しまれたショッピングモール。スーパー「ヨークベニマル」(県内74店舗)が3月30日に開店。ホームセンター「ダイユーエイト」もあり、福島県民おなじみの店が並びます。 モールのフードコートは昼食時、復旧・復興事業の作業員や地元住民でにぎわいます。町のお母さん手作り弁当や、鶏肉たっぷりの親子丼、そばなどが食べられます。 店舗の反対側は事務所棟で、民間主体のまちづくり会社「とみおかプラス」や町商工会が入居。今後はまちづくりの拠点にもなりそうです。 北隣は、福島第1原発見学への拠点となる東京電力の旧エネルギー館。常磐線代行バスがとまる現在の「富岡駅」でもあり、4月から竜田駅(楢葉町)との間で上下計22便も走ります。