「上告せず冤罪検証を」 傷害致死で逆転無罪、弁護団が高検に申入書
2歳の娘に対する傷害致死などの罪に問われ、一審で懲役12年とされ、大阪高裁で逆転無罪となった今西貴大被告(35)の弁護団が3日、最高裁に上告しないよう大阪高検に申し入れた。 【写真】無罪判決を受け、会見で笑顔を見せる今西貴大被告=2024年11月28日午後3時32分、大阪市北区、伊藤進之介撮影 娘の頭部には外傷がなく、頭蓋(ずがい)内損傷が暴行によるものかが争点になった。弁護団は申入書で、控訴審では8人もの専門家に証人尋問をして、3年超という異例の長期間を経て判決に至ったと指摘。上告に必要な憲法違反や判例違反はないと主張した。 今西被告が今年7月に保釈されるまで約5年半にわたって勾留されていたことにも触れ、「長く拘束し続けた人権侵害から目を背けてはならない。求められるのは上告を断念し、冤罪(えんざい)の原因を検証することだ」と訴えた。 高検の小橋常和・次席検事は「判決内容を精査した上で適切に対応したい」とコメントした。 今西被告は2017年12月、大阪市内の自宅で何らかの暴行で娘の頭蓋内に損傷を負わせ、1週間後に死亡させたなどとして起訴された。 先月28日の高裁判決は、損傷の要因に関する医師らの証言は一様ではなく、心肺停止に至ったのは嘔吐(おうと)や誤嚥(ごえん)による窒息が原因の可能性も否定できないと指摘。「被告の暴行」と認定した一審・大阪地裁判決を覆した。 上告期限は今月12日。(山本逸生)
朝日新聞社