三重・松阪の「駅弁マーク制定35周年記念」駅弁、掛け紙に込められたテーマとは?
【ライター望月の駅弁膝栗毛】 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。 【写真全6枚】記念掛け紙つきの元祖特撰牛肉弁当
秋から、日本鉄道構内営業中央会(中央会)加盟・29の駅弁業者によって行われている「駅弁マーク制定35周年記念」駅弁企画。なかには、年をまたいで正月明けまで販売が行われる駅弁屋さんもあり、各社さんならではの趣向を凝らした取り組みに出逢えます。なかでも「掛け紙が会心の出来」と胸を張るのは三重・松阪の駅弁屋さんです。伊勢路を列車に揺られながら、松阪を訪ねました。
名古屋~伊勢市・鳥羽間を結んでいる快速「みえ」。日中は概ね1時間間隔で運行され、伊勢・鳥羽方面のアクセスを担います。現在のキハ75形気動車は、平成5(1993)年、非電化区間における(並行する他社線との)競争力強化と、スピードアップのために投入されました。早いものでデビューから30年、特急並みのスピードを誇る快速として元気に活躍しています。
今年(2023年)は、駅弁の日制定から30年、そして駅弁マークの制定からも35周年の節目の年でした。三重県唯一の「駅弁マーク」を冠する駅弁販売駅・松阪駅の名物駅弁、新竹商店の「元祖特撰牛肉弁当」(1700円)にも、この秋から「駅弁マーク制定35周年記念パッケージ」が登場しています。購入すると、日本鉄道構内営業中央会(中央会)のオリジナルのしおりが添えられます(記念パッケージ版は予約がお薦めです)。
新竹商店によると、記念掛け紙では「新竹商店の駅弁の歴史」を表現したそう。4枚の写真から構成され、1枚目は昭和初期(左上)、2枚目は昭和20年代、参宮線・松阪~紀勢東線・尾鷲間(当時)で車内販売をやっていた頃のもの(右上)、3枚目は昭和40年代、松阪駅での立ち売り風景(左下)。そして4枚目が、いまの新竹商店(右下)です。5人の売り子さんによって立ち売りが行われていた頃の松阪は、名古屋方面だけでなく、関西本線・草津線経由で京都方面とも、急行「志摩」などの列車で結ばれていたといいます。昔の写真と一緒に、そんな歴史に思いを馳せてみるのもいいですね。