40歳で「課長」になりましたが、残業と年収が見合わないというのは本当ですか?課長職の平均年収とは?
「40歳までには課長職に就きたい」というように、会社員として働いている人の中には課長職へ就くことを目標にするケースも多いのではないでしょうか。課長職に就いて任される業務が増えたり、収入が増えたりすることで、長年働いてきたことに対する達成感を得られることでしょう。 しかし、課長職に就くに当たって年収と残業代が見合わないといった不安を抱く人もいるかもしれません。課長職になることで残業時間に対する対価を得られないのは避けたいところです。 本記事では、課長職の業務内容をはじめ、平均収入や労働時間、残業代の実態について解説します。
課長職とは?
課長職とは、会社規模によって多少の違いはあるものの、社長、取締役、監査役、部長の次の立ち位置です。管理職であるため、係長職と比べて職務権限の幅が広がり、給料の面にも違いが出てきます。 課長職の役割は、部下の指導や育成、評価、業務を順調に遂行するための管理や施策の導入、改善など多岐にわたります。部下と連携を取って部長職へ業務の進捗(しんちょく)を報告する、部下のスキルを最大限引き出すための業務を割り当てる、実績の高い部下を正当に評価して部長に報告・昇進につなげるなど、部長職と係長職・一般職との間に入って課や部署をまとめる存在であるとも考えていいでしょう。
課長の平均収入と労働時間
課長の平均的な月収と労働時間について解説します。課長の平均収入は、会社規模などによって異なりますが、係長職や一般職と比べて高く、部長職よりも低いのが一般的です。労働時間については、職位は関係なくほぼ同等であるケースは多いものの、残業代が支給されるかどうかで年収面に違いが出るケースはあるでしょう。 ■課長の平均月収 厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、課長職をはじめとする役職別の賃金を図表1のように伝えています。 【図表1】
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」より筆者作成 課長職と一般職と比べた場合は約20万円、係長職と比べた場合は約12万円、平均月収が高いことが分かります。なお、部長職と比べた場合は、課長職の平均が約10万円低いようです。 ■課長の平均労働時間 労働政策研究・研修機構の「調査シリーズNo.212 管理職の働き方に関する調査」によると、課長の1ヶ月あたりの平均労働時間は178.1時間とのことです。割合で見ると、150時間未満は11.1%、150時間以上170時間未満は28.9%、170時間以上190時間未満は27.5%、190時間以上220時間未満は22.9%、220時間以上は9.5%という割合になっています。 部長職や係長職などと比べて課長職の平均労働時間が極めて長いわけではなく、ほぼ同水準である状況です。 ■管理監督者は残業代が支給されないのが一般的 課長職でも、管理監督者に該当する場合は残業代が支給されません。労働基準法における労働時間・休憩・休日などの規定の対象外となるからです。厚生労働省「労働基準法における管理監視者の範囲の適正化のために」によると、管理監督者の要件は以下のとおりで、これに該当しない場合は残業代が支給されるようです。 ●労働時間・休憩・休日等に関する規制を超えて活動しなければならない重要な「職務内容」を有している ●労働時間・休憩・休日等に関する規制の枠を超えて活動しなければならない重要な「責任と権限」を有している ●実際の勤務態様も労働基準法の規制になじまないようなものである ●賃金(給与・賞与・その他の待遇など)について一般労働者と比較して相応の待遇がされている 課長職で残業代が支給されるかどうかは、管理監督者に該当するかどうかで判断してください。管理監督者で残業が多い場合は、残業代が支給されないことで残業分をカバーできなくなって収入と見合わないとなるケースも有り得るようです。