日本企業の3割、トランプ政権は「マイナス」 全産業が「マイナス」派なのに金融・保険業に「プラス」が目立つわけ
金融・保険業は、今後のトランプ氏の景気拡張策に期待か?
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった東京商工リサーチ情報部の担当者に話を聞いた。 ――「マイナス」と答えた企業が約3割で、「プラス」を2割近く上回っています。前回調査より「マイナス」の度合いが高まっていますが、「トランプ大統領」がリアルになったことで、日本企業全体として脅威が増しているということなのでしょうか。 担当者 前回「分からない」と回答していた企業が、影響を認識し始めた結果、「マイナス」に移動した企業が多いと考えられます。 脅威とまで考えているかは不明ですが、バイデン政権から大きく姿勢が変化する政策(環境・エネルギー政策など)もありますので、そうした変化への対応に追われることを懸念に思う企業が増えたのではないかと推察されます。 ――10産業の業界別データを見ると、マイナスは農・林・漁・鉱業と製造業、卸売業が突出して多いですが、この理由は何でしょうか。一方、金融・保険業と運輸業でプラスが目立ちますが、この理由も何でしょうか。 担当者 農・林・漁・鉱業や製造業は、トランプ氏の各国一律関税をはじめとした保護主義的な姿勢によって日本からの輸出が減り、物流量が減少することを懸念に思っていると考えられます。 金融・保険業は今後のトランプ氏の景気拡張策に期待しているのでしょう。同じく運輸業は、トランプ氏が原油増産を打つ出す姿勢を見せていることからエネルギー価格の低下に期待を持っていると推察されます。
トランプ氏の一挙手一投足をにらんだ経営が求められる
――トランプ政権の政策で注目する点として、「通貨・為替政策のありかた」と「関税政策のありかた」で、それぞれプラス、マイナスの振れ幅が非常に大きいですね。これはどういう理由からでしょうか。 担当者 通貨動向に関しては、原材料や燃料・水光熱費などのエネルギー価格などのコスト増への対応に苦心する企業が多いため、円安・円高どちらに振れるかを注目する企業が多いと考えられます。 関税に関しては主に製造業などの輸出動向に関わってくるため、こちらもトランプ政権がどう動くかで関心が高いと思われます。 「その他」では、「日本製鉄によるUSスチール買収計画の動向」や「在日米軍駐留費用の動向」などに関心を寄せる意見もありました。トランプ氏は来年(2025年)1月の大統領就任を前に、新政権の要職人事を次々と発表しています。世界の政治経済への影響力が大きい新大統領の一挙手一投足を睨んだ経営が求められます。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)