日本企業の3割、トランプ政権は「マイナス」 全産業が「マイナス」派なのに金融・保険業に「プラス」が目立つわけ
2025年1月に指導する第2次トランプ政権では、一律関税賦課や石油増産をはじめとする「米国第一主義」の政策が1次政権以上に強まることが予想される。 【ひと目でわかる】トランプ政権の政策は自社の業績にプラスか?マイナスか? そんななか、日本企業の約3割がトランプ政権は業績に「マイナス」と予想、「プラス」予想は約8%にとどまることが、東京商工リサーチが2024年12月17日に発表した企業アンケート調査でわかった。 4か月前の同様の調査より、「マイナス」が急上昇。トランプ政権スタートを前に不安を募らせる日本企業の実態を調査担当者に聞いた。 ■政策の最大の注目点は「通貨・為替」と「関税」 東京商工リサーチのトランプ氏に関する調査は、今年(2024年)に入って3回目だ。8月の「もしトランプ氏就任なら、業績予想はマイナス、プラス?」と、大統領選直前の10月の「日本企業の支持はハリス氏43%、トランプ氏15%」に続く今回の調査(2024年12月2日~9日)は、全国6647社が対象。 まず、トランプ氏の就任が自社の業績にどんな影響があるかを聞くと、「マイナス」と答えた企業は28.1%で、「プラス」の8.6%を19.5ポイント上回った。「分からない」(37.5%)が最も多かった【図表1】。 8月調査では「マイナス」が16.3%だったから、4か月間で11.8ポイント上昇した。「もしトラ」から「まじトラ」になったことで、リスクを感じる企業が増えていることがわかる。 産業別にみると、10産業すべて「マイナス」が「プラス」を上回った。特に、「マイナス」が際立って高いのは農・林・漁・鉱業(43.5%)や製造業(34.5%)、卸売業(34.2%)だ。一方、「プラス」が目立つのは、金融・保険業(14.4%)と運輸業(13.35%)だった【図表2】。 トランプ次期大統領の政策の注目点は、最高が「通貨・為替政策」(52.4%、10月調査49.2%)。次いで「関税政策」(51.5%、同23.1%)、「台湾有事を含めた中国との関係性」(50.8%、同65.4%)と50%超が続く【図表3】。 10月調査では、地政学リスクへの懸念が高かったが、今回すでにトランプ氏がメキシコとカナダに関税をかけると発言、中国への追加関税や各国一律10~20%程度の関税を課すことを主張するなど、現実的な通貨や関税政策のリスクに関心が高まっている。