プライベートクレジット投資家、レバレッジ敬遠-デフォルトを懸念
(ブルームバーグ): 欧州のプライベートクレジット投資家は、デフォルト(債務不履行)が増えることを懸念しているため、レバレッジを効かせたファンドへの投資を見送ろうとしている。
新たな資金調達ラウンドを終えたばかりのダイレクトレンダー(直接金融業者)によると、レバレッジを活用したファンドを購入するか、そうでないファンドを購入するかを選択できる場合、レバレッジを高めたファンドを選ぶ投資家は少なくなっている。
通常、中堅企業向けのローン債権に投資するプライベートクレジットファンドは、投資家からの資金に加えて借り入れた資金を活用する場合がある。このようなレバレッジはプライベートクレジット市場が活況を呈する中、リターンを2桁に押し上げる方法として人気を博してきた。しかし、マイナス局面では損失を拡大させるリスクがある。
CAPZAのマネジングパートナー、ギヨーム・ドゥ・ジョン氏は「以前はレバレッジを使った部分を提供していたが、直近のファンドでは需要がかなり減った。高金利が長く続くという考え方が定着しつつあり、これはさらに先でデフォルトが増える可能性があることを意味する」と話した。
欧州中央銀行(ECB)は今月、米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行(英中銀)に先駆けて金利引き下げに動いたが、インフレが依然として高止まりしている中、さらなる緩和が迅速に行われることには疑問符が付く。
欧米の規制当局は、一部のファンドが活用できるレバレッジに上限を設けているが、その範囲内で借り入れ額を決定する際のアプローチは運用会社によって大きく異なる。
ゴールディング・キャピタル・パートナーズのマネジングディレクター、フロリアン・ホーファー氏は「一部の運用会社は、レバレッジのレベルを上げ過ぎている」と指摘する。
これまで、高金利は1兆7000億ドル(約270兆円)規模のプライベートクレジット市場にとって棚ぼた式利益の基だった。貸し手は、運用利益の分け前「キャリー」を受け取れるようになる境界線のリターンであるいわゆるハードルレートを突破することが容易になり、業界はプライベートエクイティーに匹敵する利益を享受してきた。