もうイライラ悩まない! 閉経前の月経不順はコントロールする時代!【我慢しないで快適に過ごす、閉経への道 ②】
Q 閉経までの月経トラブルは仕方ないと思われがちだが?
「仕方ないとか、しょうがないなんて思わないようにしましょう。 昔々の女性は家にこもっていて、月経がきたらわら小屋へ行って静かにしていなさい、と言われていたという話があります。わらの上に寝そべってね。わらが汚れたら燃やせばいいんだからと。 家の裏が川だから、体が汚れたらすぐに洗えばいい。お風呂もないから裏の小川でお尻を洗って、いつもきれいにしておきなさいよって。そういう感覚の時代があったのね。 ショーツという下着もないし、もちろんナプキンもなかった。でも今の女性はすばらしい下着もナプキンも月経用ショーツもある。だから逆に月経だからって休暇もないし、休むなんて言ってられないし、男性と同じだけ働かなきゃならない。 そして今は、月経に左右され、コントロールされて『プールに入れません』『すみません、休みます』『ごめんね、旅行に行けないの』という時代じゃない。 こちらが月経をコントロールしてやろうという時代になったんです。 昔は月経にコントロールされている人生だったけど、逆に月経をコントロールしながら生きる社会になっているんですね」
Q 閉経前の月経の困り事で多いのは?
「人それぞれですね。個人差も大きいから。今は人生100年時代。『灰になってもオンナよね』という人もいます。つまり50代でも60代でも、70代以降でも女であることは変わらない。 1945年の終戦後くらいまでの寿命は50歳だったのよ、人生50年だったの! でも、その時代でも閉経する年齢は今と同じ50歳。更年期がどうのといっても、閉経と同時に寿命ということですからね。 ところが、閉経したあとも元気でいられることがわかってきたので『さあ、若さを保とう、若くなろう』と思う人が増えたの。 昔は人生50年で50歳で性生活がなかったのに、今は70歳でも80歳でも夫と仲良くしたい人もいる。月経はもういらないという人がいる半面、毎月あるほうがうれしいという人もいるんです。月経があることによって女を自覚する。『今日は生理だから今夜はダメなの』って伝えるほうが夫も喜んでいるというんです。そういう人には、極低用量ピル(低用量ピルのひとつ)を処方したりもできます。 つらい月経はしばらくいらないという人はディナゲスト(黄体ホルモン剤のひとつ。これを飲んでいれば月経はこない)の処方、または、ミレーナ(子宮内に挿入して、少しずつ黄体ホルモンを放出することで子宮内膜が薄くなり、経血量が減る)でもよいかも。いずれにしても、解決策はあるということなのよ。今はもうそういう時代。 月経に左右されるんじゃなくて、私たちが月経をコントロールできる時代なんですよ!」
【教えてくれたのは】 松峯寿美さん 東峯婦人クリニック名誉院長。日本産婦人科学会専門医。医学博士。妊娠・出産はもちろん、思春期、更年期、老年の女性に寄り添い、40年以上診療を続けている。著書に『婦人科医が不安と疑問にやさしく答える 更年期の処方箋』(ナツメ社)、『50歳からの婦人科 こころとからだのセルフケア』(高橋書店)など多数 イラスト/Shutterstock 取材・原文/蓮見則子