年越しカウントダウン中止の渋谷区、頭悩ます“路上喫煙”は外国人観光客より日本人が問題?「苦情が減った」喫煙所整備における草の根活動
■マナー守られず…過料ふくめた罰則規定に改定、だがルール周知には課題も
渋谷駅周辺が人でごった返しているのは、何もイベント時期に限ったことではない。人の群れが縦横に行き交うスクランブル交差点は、日中から深夜まで人波が途絶えない。渋谷が魅力的な街である証拠でもあるが、そのぶん浮き足立った気分のままルールを破る人が出てきてしまうのも想像に難くない。 「区の人口の何倍もの人たちが遊びに来る場所でもあります。今は喫煙率が下がっているとは言いますが、何%かがたばこを吸っていれば、そこへの対策は必須。渋谷区では2003年に『渋谷区分煙ルール』を定めて喫煙者のマナー向上を図ってきたのですが、マナーを守らない行為が多数見られたことから、2019年に過料など罰則規定を盛り込んだ『渋谷喫煙ルール』に改訂した経緯があります」 とはいえ、スクランブル交差点を闊歩する人々のどれくらいが、このルールを知っているだろうか。 「ルールは区のHPなどにも記載されていますが、とくに区外の方への周知は難しいですね。路上に禁煙の文字があっても、楽しい気分になっている皆さんには見逃されてしまいます。周知徹底についても、今後の課題だと考えています」 ■「訪れた国のルールには従う」外国人観光客の一方で、過料を出しぶるのは… また、昨年から一気に増えた外国人観光客への対策にも頭を悩ませる。スクランブル交差点自体が観光スポットになるほど、今の渋谷には外国人が多い。 「もともとインバウンドは多かったのですが、これほど増えるとは想定外でした。今年からは街を巡回する分煙対策指導員が3ヵ国語パネルによるルール説明や、喫煙所の案内も行っていますが、まだまだ対策が追いついているとは言えません」 現在は渋谷駅周辺の至るところに、<NO SMOKING><過料2,000円>と表示された路面シートが貼られている。もちろん、ルール違反への過料は外国人にも「きっちり徴収する」とのこと。 「外国の方は、注意をすると意外とすんなり過料を払ってくださいます。『ここで吸ってはいけないのを知らなかった』『訪れた国のルールには従う』という方がほとんど。多言語での告知などでルールが届きさえすれば、解決できるのかもしれません」 一方で、過料を渋る人の多くは「日本人の若者」。なかには、「指導員のオレンジ色のベストを見ると、サッと隠れる人もいる」という。 隠れるのであれば、その人たちは「吸ってはいけない」ことを知りながら、注意や過料徴収を避けているとみられる。隠れれば逃れられるというわけではないし、そもそもルールを破った上でのこの行動はいかがなものか。ハロウィンにしても喫煙マナーにしても、とかく目立つ外国人観光客ばかりが槍玉にあがりがちだが、実態は少々異なるようだ。