育成入団→電撃トレード→「イップスのような状態」も乗り越え…ロッテの196cm右腕・国吉佑樹が苦難の先に掴んだもの〈球団新記録のヒーロー秘話〉
飛行機が羽田空港に到着し、機内から出るとマネージャーに呼び止められた。国吉佑樹投手は、ベイスターズからマリーンズへのトレード移籍が決まった時の事を鮮明に覚えている。あれは2021年6月13日。 【秘蔵フォト】「谷底に転げ落ちるような感覚…いわゆるイップスのような状態」突然陥った苦境の時を振り返ったロッテ・国吉佑樹…この記事の写真を見る 「明日、球団事務所にいってくれ」 この日までは交流戦。札幌ドームでのファイターズとのデーゲームを終えて空路移動し、リーグ戦再開に向けて気持ちを入れ直していた中で球団から呼び出された。時期的にもトレードであるとすぐに察した。
すぐに察したトレード
「その場では何も言われなかったけど、トレードだなとは分かりました。(行く先が)どことは分からなかったけど、自分の中で、ああそういうことだろうなあと思った。翌日、事務所に行くとマリーンズの有吉(優樹)さんとトレードが決まったからと言われて、すぐに発表になりました」 09年ドラフトの育成1位でベイスターズに入団。11年に支配下登録され先発、中継ぎとして活躍してきた。トレードが発表となった際に国吉はこんなコメントを出している。 「育成で入団して様々な経験をさせていただき感謝の気持ちです。突然のことで正直寂しい気持ちと、まだ実感が湧いてこないです。リーグは違いますが、野球をすることに関しては変わらないので、移籍してもしっかり自分らしいパフォーマンスを発揮できるように頑張ります」
心機一転のチャンス
この年、ベイスターズでは18試合に登板して1勝1敗の防御率5.16。「主に先発が早い回に降板した時に試合を立て直す役割を担っていた」と振り返る。決して本人も満足いく成績ではなかった中で、このトレードは気持ちを一新する良い機会と捉えることができた。同じ関東が本拠地のチームということで、引っ越しなど家族への負担が少ないことも嬉しかった。ただ一つ、不思議に思うことがあった。この年の交流戦で国吉はマリーンズ相手に2試合に登板して、いずれも打たれていたことだ。 「レアードに打たれて、(佐藤)都志也にも打たれた。とにかく打たれた記憶があります」 横浜スタジアムでの6月4日、初戦は1回3分の1を投げて2安打、2失点で負け投手。翌5日も1回を投げて2安打、3失点していた。
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