身動きが取れない...認知症の柴犬「しの」を助けた、仲良し猫「くぅ」の咄嗟の行動
柴犬のしのに認知症の兆候が現れはじめたところ、しのが大好きな猫のくぅは24時間体制で付きっきりお世話。よろけるしのを倒れないよう先回りして支えたり、顔が枕から落ちているときはそっと鼻で押し上げて直してあげます。 【写真】人気G1馬・メイショウドトウが暮らす引退場牧場で仲良しの猫・メト そんなふたりの様子を飼い主の晴さんがInstagramでUPすると、瞬く間に人気になりました。本稿では、ふたりの出会いと日常を紹介します。 ※本稿は、晴著「くぅとしの 認知症の犬しのと介護猫くぅ」(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
くぅとしのの出会い
道路の真ん中で彷徨っていたところを保護した老犬「しの」と、満身創痍で助けを求めてやてきた猫「くぅ」。ふたりが出会ったのは2013年夏でした。 といっても、庭の犬小屋で暮らしていたしのは室内飼いのくぅに気付かず、くぅの一方的な一目惚れから始まりました。
当時、私が暮らしていた実家では、暑い日は玄関に猫脱走防止の柵をして扉を開けっぱなしにしていました。そこを横切ったのがしの。 一瞬でしたが、たまたま廊下にいたくぅはしのに釘付け! 黒目いっぱいのキラッキラの瞳で、歩き去ったしのをもう一度見ようと、いっしょうけんめい首を伸ばして柵の間から外を見ていました。 その後は、なんども私と外を交互に見て「さっきのだれ? また会いたいのだ!」と玄関から離れようとしないので、抱っこして庭が見える窓へと移動。 そこにはのんびりくつろぐしのの姿がありました。私の腕の中からしのをジッと見つめるくぅの姿は、まさに恋するオトメ。その日から、恋するオトメ男子・くぅのアタックが始まりました。 でも、当時のくぅは過酷な野良生活のトラウマからか、外を見ることすら怖くて自分から窓に近づくことができない状態(しのを初めて見たときはガン見していましたが)。しばらくはふたりのすれ違いの日々が続いたのです。
オトメ男子・くぅの猛アタック
しのに一目惚れしてから、しばらく離ればなれだったくぅとしの。普段は庭の犬小屋で過ごすしのでしたが、夏・冬の寒暖差の大きい夜は玄関で寝ていました。しのが玄関にいると、くぅはしのに近づこうとウロウロそわそわ。かと思うと、ジッとしのを見つめたり、まるで片思い中のオトメそのものです。 でも猫が苦手なしのは、そんなくぅを完全無視。それでもなんとかしのと仲良くなりたいくぅは、フセの姿勢でリラックスしているしのに静かに近づき、そーっと片手を伸ばしてタッチ。 でも、ちょっとでも触れるとサッと立ち上がって離れる、つれないしの。伸ばしたままのくぅの手がなんとも切ない......そんなシーンを何度くり返しても、2匹のキョリはなかなか縮まりませんでした。