身動きが取れない...認知症の柴犬「しの」を助けた、仲良し猫「くぅ」の咄嗟の行動
そして私の結婚を機に、しのと猫たちを連れて引っ越すことになり、新居ではしのも一緒に室内で暮らし始めました。しのといつも一緒にいられるようになり、喜んだくぅは毎日、熱烈アタックを開始。 スキあらばタッチし、当たり前のように添い寝し、しのが行くところについて行き、そばにい続けるくぅに、しのも根負け。くぅが何をしても受け入れてくれるようになりました。 どんなにイヤがられても諦めずにアタックし続け、やっと思いが通じた? くぅ。大好きなしのに寄り添って、思う存分モフモフできる幸せな日々が訪れました。
くぅが介護をはじめたきっかけ
引越しから半年が過ぎた頃から、しのはせまい場所や家具のすき間に挟まるようになり、後ずさりもできなくなりました。壁におデコをつけたままジッとしていたり、今まで平気だった段差も越えられなくなっていくしのを、くぅはいつもそばで心配そうに見つめていました。 また、歩行にも異変が。しの自身は真っすぐ歩いているつもりなのに、円を描くようにぐるぐる回るようになり、大好きな散歩も難しくなりました。 しのに認知症の症状が出はじめた頃、初めは心配そうに見ているだけだったくぅ。 ある夜、くぅが「くぅ~、くぅ~!」と鳴きながら、2階で寝ている私の元へ。切羽つまったような声で呼ぶくぅの後についていくと、1階の廊下でしのが身動きとれなくなっていました。 私より先にしのに駆け寄り、「早く助けて!」と目で訴えてくるくぅ。その夜以降、しののピンチの時には、いつも私を呼びに来てくれるようになりました。
そして、しのが初めててんかん発作で倒れた日、部屋でしのをぐるぐると歩かせていると、くぅがやって来て、しのに付き添って歩きはじめました。しのの横にぴったりくっついて、よろけてぶつかってくるしのを全身で支えながら、まるで誘導しているかのようでした。 しのと一緒に休みなくぐるぐる歩き続けて30分後。「疲れた......」とばかりに、急にバタンと倒れたくぅ。しばらく横になったままのくぅに労いの言葉をかけると、「自分にできるのはここまで」とばかりに部屋を出ていきました。 この時から、くぅはしのを介護してくれるようになりました。初めはずっと一緒にぐるぐる歩いていましたが、慣れてくるとだんだん手抜きを覚えると同時に、介護の匠へと進化していきました。
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