ファイザー、通期業績見通し上方修正-物言う株主の批判かわす狙い
(ブルームバーグ): 米医薬品大手ファイザーが29日発表した7-9月期(第3四半期)決算では、調整後利益が予想を上回った。また同社は2024年通年の業績見通しを上方修正。不適切な経営を非難するアクティビスト(物言う投資家)のスターボード・バリューとの対立が公になっており、批判をかわす狙いがあるようだ。
発表によると、ファイザーの24年の調整後1株当たり純利益は2.75-2.95ドルになり、従来予想レンジを30セント上回る見通し。同社は、新型コロナウイルス感染症経口薬「パクスロビド」の販売急増により、売上高予想も引き上げた。
ファイザーによると、夏に新型コロナの感染が拡大したことを受け、パクスロビドの第3四半期の売上高は、アナリストの予想を大きく上回る27億ドル(約4130億円)に達した。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以降、ファイザーは、売り上げが落ち込んでいる新型コロナワクチンに代わる新たなヒット商品を生み出すため、数々の買収に乗り出している。同社の株価は21年12月の高値から半分以下に下落している。ファイザー株約10億ドル相当を取得したとされるスターボードは、株価反転に向けた対応を求めている。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)のもと、ファイザーは昨年の抗がん剤メーカ-、シージェン(430億ドル)を含む、総額700億ドルに上る買収をしてきた。5月には、27年末までに15億ドルのコスト削減を目指す新たな計画も発表した。
先週のアクティビスト投資家会議で、スターボードのジェフ・スミスCEOは、買収での過剰支出や内部研究開発の低収益などを指摘し、ファイザー経営陣を厳しく批判。スミス氏は、こうした「悪手」により、ファイザーの価値は少なくとも200億ドル損なわれたと述べた。同日、スミス氏は米CNBCによる別のインタビューで、ブーラCEOの解任が「理にかなっている」と述べた。