特産スモモ不作 広島県呉市の上蒲刈島 ガの大量発生が原因 出荷量、過去10年で最低
広島県呉市の上蒲刈島で、今季のスモモの出荷量が昨季の約3割にとどまり、過去10年で最低となった。虫害が主な要因で、生産関係者たちは県内シェアの約半分を占める特産品の生産維持へ対策を練る。 今季は例年並みの約9トンの出荷を見込んでいたが、出荷できたのは約4トンと計画の約40%だった。7月下旬に出荷を終えた蒲刈スモモ生産組合の石井芳清組合長(70)は「初めて経験するような不作だった」と声を落とした。 不作の要因は「アケビコノハ」などのガの大量発生だ。夜間に飛来してスモモの養分を吸い取り、変色や腐食などの被害をもたらす。2012年も同様の被害で不作に陥ったが、今年は当時よりも深刻な状況という。 ガが大量発生した背景には、島内の耕作放棄地の増加がある。JA広島果実連(東広島市)の小川哲也技師(47)は、荒廃した農地で生い茂る雑草の葉に卵を産むなどし、生息範囲が拡大したとみている。 生産者は従来、ペットボトル内で焼酎や酢、砂糖を混ぜたわなを木につり下げて対策を講じてきた。小川技師は解決策として、夜行性のガの活動を抑制する防蛾(ぼうが)灯の園地への設置などを提案する。 石井組合長は「今年も心待ちにする声がたくさん届いた。生産を切らしたくない。精神的なダメージは大きかったが、期待に応えるためにも基本管理を徹底していく」と話す。
中国新聞社