保護貿易主義者のライトハイザー氏がトランプ次期政権で主要ポストに
追加関税導入は政権発足直後にも
追加関税の導入は議会の承認が必要でないことから、来年1月のトランプ次期政権発足直後にも、移民規制の強化と合わせて打ち出される可能性が考えられる。米国以外の国の株式市場は、そうした政策が自国に及ぼす悪影響を意識しているが、追加関税の導入は、米国内での増税策に他ならず、米国経済にも悪影響が及ぶ。 この点を踏まえると、トランプ次期政権の経済政策の効果を織り込んでドル高、株高、長期金利上昇が進む米国市場の「トランプトレード」は、持続的ではないのではないか。 株式市場が期待するトランプ次期政権の減税策の規模は、第1期と比べてかなり小さい。また、それらは議会審議が必要であるため、トランプ次期政権の優先課題とはならないだろう。減税、規制緩和などの政策は後ずれする一方、米国及び世界経済に大きな打撃となり得る追加関税が先行して打ち出される可能性に、留意しておきたい。 (参考資料) "Donald Trump Tells Allies He Wants Robert Lighthizer as His Trade Czar(トランプ氏、ライトハイザー氏を通商政策トップに起用へ)", Wall Street Journal, November 13, 2024 「「関税爆弾設計者」ライトハイザー元米通商代表部代表、超強硬保護貿易のトップに指名か」、2024年11月12日、中央日報 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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