セルフレジ「うっかり万引き」したことない? 欧米ではトラブル多発で“社会的失敗”とまで…セルフレジに未来と発展はあるのか
操作がわからない客のために結局、店員を配置…
セルフレジ導入には万引き以外にも問題があるという。 「高齢者など機械操作に不慣れな方はセルフレジの画面操作方法がわからず、そういった顧客に操作方法を教えるための店員がセルフレジ近くに配置されることも珍しくありません。 これは店舗や企業によって取り扱っているセルフレジのメーカーが異なり、操作方法が統一されていないことも、操作を覚えられない要因になっています。いずれにしても人手不足を解消するためにセルフレジを導入したのに、けっきょく人員が必要になっているという本末転倒な状態になっている店舗も多くあります。 かといって、セルフレジの操作方法をフォローする担当の店員を配置しておかないと、操作に手間取っている人の後ろに並んでいる人がイライラして、客同士の喧嘩に発展してしまうケースもあり、ジレンマが出てきているのです」 すっかり便利になるかと思いきや、セルフレジによって新たな手間やトラブルが発生することもある模様だ。ただ岩崎氏は、日本ではそれでもセルフレジの導入がさらに進んでいくと予想しているという。 「やはり購入者の心理の根底には、時間を節約したいというタイムパフォーマンスの意識があるからです。レジにかかる時間をいかに短くできるかが重要なので、そういった大半の消費者の心理を実現できるのは、やはりセルフレジの利点といえます。 またメリットは消費者側だけでなく企業側にもあります。先ほど操作方法をレクチャーする店員をわざわざ配置しているという話をしましたが、数台のセルフレジを1人の店員が受け持つことができるので、やはり人手不足問題の解決にはその導入で自動化を進めていきたいという意向があるのです。 このようにセルフレジの課題はいくつか残されていますが、今後はセルフレジ数台に対して店員を1人配置するというスタイルで広まっていくのではないかと予想しています。操作方法がわからない人へのフォローができるのはもちろんですが、完全に無人にしてしまうと万引きが増えてしまいますので、万引きの抑止力の意味でもセルフレジ近くに店員が必要でしょう」 ――欧米では“社会的失敗”と見る向きもあるセルフレジだが、日本では今後も普及していくのか、今後の動向を見守っていきたい。 取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio 写真/shutterstock